哲学・思想

“どんなことも、私たちが共に過ごした人生を、私たちが共になしとげたすべてを、私とエリ―から奪うことはできない。私たちは決して、別々になることはないんだ” 『フランクル『夜と霧』への旅』 河原理子 平凡社

フランクル『夜と霧』への旅作者: 河原理子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/11/24メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (8件) を見るフランクルの私生活は,その著作ほどには知られていない.家族などいろいろな人へのインタビューが本…

“柄谷の念頭にある「イソノミア」という概念は、それの歴史的起源をあえて古代ギリシアのイオニアに求めるようなことをせず、...ひとつの統整的理念として彫琢していったほうがよほど生産的ではないのだろうか” 『イオニア的』 ヘテロトピア通信39 上村忠男 みすず 2013年4月

みすず 2013年 04月号 [雑誌]出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/04/01メディア: 雑誌この商品を含むブログを見る柄谷行人氏の新著『哲学の起源』,広告や書評を見かけるようになった.(私は読んだことがないのだが)その著書がたいへんよく読まれて…

“ぼくは思いだす、ベンヤミンよりわずか若く、一九一九年に二0歳の無名の詩人だったベルトルト・ブレヒトが、ローザと革命の敗北とを悼む「くれないのローザのバラード」を書いた、といわれていることを。” 『 バイエルン革命と文学  (1981年)  (白水叢書〈52〉) 』 野村修 白水社

バイエルン革命と文学 (1981年) (白水叢書〈52〉)作者: 野村修出版社/メーカー: 白水社発売日: 1981/02メディア: ? クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る1981年1月刊.同年3月読了とある.恐らく大学生協で購入して読んだもの.山口昌男の著作で…

“ふたりに敬意を表すべきは、輝かしい業績ではなく、「自由」を得るために、長いあいだ地道に行われつづけた壮絶な「稽古」にある、と私は思うのである” 『「加藤周一」という生き方 (筑摩選書)』 鷲巣力 筑摩書房

「加藤周一」という生き方 (筑摩選書)作者: 鷲巣力出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/11メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る日本を代表する知識人であった,加藤周一.予備校時代,国語のたいへん出来る友人がいて,彼が…

“自然は人間の営みとは無関係に美しい” 『秋、穂高で』 医師の山歩き 3 山本太郎 みすず 2012年 12月号 みすず書房

みすず 2012年 12月号 [雑誌]出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/12/03メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る長崎大学熱帯医学研究所に勤める医師である、山本太郎氏による山歩き紀行の連載。秋の穂高行のともとなったのは、フランクル著の…

“むしろ専門的知識や技能を棚上げにして、現場に身をさらすこと。そのときに初めて、付き添いさんの知恵というか、眼力の要となるところがおぼろげながらも見えてきます” 『語りきれないこと 危機と傷みの哲学  (角川oneテーマ21) 』 鷲田清一 角川学芸出版

語りきれないこと 危機と傷みの哲学 (角川oneテーマ21)作者: 鷲田清一出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2012/02/10メディア: 新書購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (12件) を見る震災後に出版された,鷲田清一氏による書物である.哲学者で…

“夏目漱石はなぜああいうふうに、今あらわれている現代日本ととけこむような作品を書けたのか。今、目前にある日本に必要な批判を作品の中に刻みこむことができたのか” 『日本人は何を捨ててきたのか: 思想家・鶴見俊輔の肉声』 鶴見俊輔, 関川夏央 筑摩書房

日本人は何を捨ててきたのか: 思想家・鶴見俊輔の肉声作者: 鶴見俊輔,関川夏央出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/08/08メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (12件) を見る鶴見俊輔との対談を納めたもの.聞き手は,関川夏央.鶴見俊輔…

“本書はまさしく「追想を横糸に、忘却を縦糸としてなされる、自発的想起」による20世紀の物語である” 『野蛮と悲劇の時代 知識人たちの航海』 (『失われた二〇世紀 (上・下)』 トニー・ジャット著 に対する書評) 姜尚中 朝日新聞 2012年2月13日朝刊 

失われた二〇世紀〈上〉作者: トニー・ジャット,河野真太郎,生駒久美,伊澤高志,近藤康裕,高橋愛出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2011/12/21メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 126回この商品を含むブログ (10件) を見る失われた二〇世紀〈下〉作…

“創造は抵抗であり、 抵抗は創造である” 『怒れ!憤れ!』 ステファン・エセル 村井章子訳 日経BP社

怒れ! 憤れ!作者: ステファン・エセル,村井 章子出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2011/12/08メディア: ペーパーバック クリック: 13回この商品を含むブログを見るついに日本語版がでた世界で話題の書(樋口陽一『世界増刊 破局の後を生きる』 2012年 01月…

“未来の世界の住民は、ネットワークに触れることで、運命によらず確率によって、動物的な生の安全の閉域から外に踏みだし、社会との接点を回復する” 『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル』 東浩紀 講談社

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル作者: 東浩紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/22メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 581回この商品を含むブログ (164件) を見る 15年にわたる思索の結果をまとめた今話題の書.副題に,「ルソー、フロイト…

“死者は永遠に去って、生者に語りかけには絶対戻って来ない、と思うのは、明らかに間違っている。死者は生者に語りかけに戻ってくる。それこそが彼らのすることだし、死者の主な仕事と言っても良い。” 『アンドレとシモーヌ―ヴェイユ家の物語』 シルヴィヴェイユ, Sylvie Weil,稲葉延子 春秋社

アンドレとシモーヌ―ヴェイユ家の物語作者: シルヴィヴェイユ,Sylvie Weil,稲葉延子出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2011/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (12件) を見るヨーロッパ,特に,フランスを主たる住処としたユダ…

“ダイモーンに対して取りうる最上の態度とは、それを避けることではなく、その声を耳を澄ませて聴き、そのいわんとするところを理解することだ。悲劇とは、自分のダイモーンを自覚できなかった者たちの敗北の物語にすぎない” 『再会と別離』 四方田犬彦, 石井睦美 新潮社

再会と別離作者: 四方田犬彦,石井睦美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る50を越えた人間二人が,再会し,自身の別離と,そして再開を語る.齢50を越えた人だけが語ることので…

“それは「クロード・レヴィ・ストロース」という名の、おおきな知性の森を歩くようなもので、そこではルネサンス絵画の秘密も神経科学の知見も、小路に咲く花のひとつのように、そっと差し出されてくるのであった” 『レヴィ=ストロースの庭』 港千尋 NTT出版

レヴィ=ストロースの庭作者: 港千尋出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2008/11/17メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (21件) を見るクロード・レヴィ=ストロースの庭と聞いて,いったいどんな世界が開かれる庭だろうか,…

“科学技術が社会に深く組み込まれるようになった現在,科学が不確実な知識しか生み出せず,しかも価値観が関与し,社会的意思決定が求められるような事例が増えている” 『みんなが選ぶ1冊』 「科学技術と社会の相互作用」 第2回シンポジウム配付資料 (1/4)

『みんなが選ぶ1冊』 「科学技術と社会の相互作用」 第2回シンポジウム(2009年4月25日)配付資料 に掲載されている書物のうち,最初の1/4を紹介.「科学技術と社会の相互作用」という研究プロジェクトは,社会技術研究開発センター(RISTEX)が主催して…

“駆けだしの研究者であったころ、自分の研究の意味と価値を世間に説明するのは無用で不純だと思っていた” 『発見術としての学問――モンテーニュ、デカルト、パスカル』 塩川徹也 岩波書店

発見術としての学問――モンテーニュ、デカルト、パスカル作者: 塩川徹也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/07/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 8回この商品を含むブログ (9件) を見る久しぶりに,堅いがっちりとした本と向き合った感がある. 「…

“問題は、その完璧な会話能力である” 『ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘  (中公新書)』 中島義道 中央公論社

ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書)作者: 中島義道出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1990/01メディア: 新書購入: 4人 クリック: 10回この商品を含むブログ (49件) を見る扉の紹介文から 学士号二つに修士号を一つ得ながら学問への心残り絶ち…

“人を信ずれば友を得、人を疑へば敵を作る” 『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』 黒岩比佐子 講談社

パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い作者: 黒岩比佐子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/10/08メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 155回この商品を含むブログ (69件) を見る 大作,労作である.おそらく著者の頭の中には,大正から昭和に…

“文学の責務は良心と道義的な覚醒に向けて、不正に対する憤りと被害者に寄せる共感に裏打ちされた敏感さの拡張に向けて、目覚ましのベルを鳴らす工夫をすることです” 『この時代に想うテロへの眼差し』 スーザンソンタグ, Susan Sontag, 木幡和枝訳 NTT出版

この時代に想うテロへの眼差し作者: スーザンソンタグ,Susan Sontag,木幡和枝出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2002/02メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (21件) を見る9.11のあと,大統領以下国民全体が熱に浮かされている中,…

“悲しみの谷では、翼を広げよう” 『死の海を泳いで―スーザン・ソンタグ最期の日々』 デイヴィッドリーフ, David Rieff, 上岡伸雄訳 岩波書店

死の海を泳いで―スーザン・ソンタグ最期の日々作者: デイヴィッドリーフ,David Rieff,上岡伸雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/03/24メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (17件) を見る 末期癌,骨髄異形成症候群(MDS)と…

“科学(者)への信頼は,何が確実に言えて,何が言えないか,それを科学者自身が明確に述べるところに成り立つといえる。科学とは,まずなによりも《限界》の知であるはずである” 『見えないもの,そして見えているのにだれも見ていないもの』 鷲田清一 科学 2011年 07月号 岩波書店

科学 2011年 07月号 [雑誌]出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/06/28メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る岩波書店『科学』の2011年7月号は,特集「原発のなくし方」なのであるが,とりあえずそれはおいておいて、巻頭の科学時評,大阪大学…

“最後まで知性のクレイドルcradle(揺り籠)は疑いなんだ。疑いを全部切り捨てるような境地に行くのは、これはファナティシズム、狂信の境地でしょう” 『かくれ佛教』 鶴見俊輔  ダイヤモンド社

かくれ佛教作者: 鶴見 俊輔出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2010/12/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 30回この商品を含むブログ (7件) を見る 鶴見俊輔の書いたものを意識的に読み始めたのは比較的最近のことである.きっかけは,岩波書店の…