心理・治癒・対話

“薬物依存症患者は、薬物が引き起こす、それこそめくるめく「快感」 が忘れられないがゆえに薬物を手放せない(=正の強化)のではない。 その薬物が、これまでずっと自分を苛んできた「苦痛」を一時的に消してくれるがゆえ、 薬物を手放せないのだ(負の強化)”『依存症、かえられるもの/かえられないもの』 (「みすず 2018年11月号)松本俊彦

昨年から、「みすず」で国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部長、松本俊彦氏による連載『依存症、かえられるもの/かえられないもの』がはじまった。2019年4月号で第四回である。初回で語られた氏自身の若い頃のエピソードも衝撃的で、引きずり込ま…

“中井の家を出るときふしぎな 解放感が湧き上がつてきた、と 最相は書くが、それはたぶん嘘 ではないかと思う” 『絵画療法を軸に心の治療を辿る』 サイエンスcrossover 瀬名秀明 (週刊朝日 2014年 3/28号 朝日新聞出版)

週刊朝日 2014年 3/28号 [雑誌]出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/03/18メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る最小葉月『セラピスト』の書評が、新聞等にたくさんでており、今評判の一冊である。 その中で、この瀬名の書評(コラム)は…

“演劇は、人類が生み出した世界で一番面白い遊びだ。きっと、この遊びの中から、新しい日本人が生まれてくる” 『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書) 』 平田オリザ 講談社

わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)作者: 平田オリザ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/12/17メディア: Kindle版購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (10件) を見るコミュニケーションを扱った書物は、山…

“死刑制度が拘置所職員、教誨師など刑を執行する側の人々の心 に深い傷を与えていることが静かに伝わつてくる” 『読まずにはいられない 死刑制度が与える 深い傷を淡々と』 book 041 佐藤優 AERA (アエラ) 2014年 3/10号 朝日新聞出版

AERA (アエラ) 2014年 3/10号 [雑誌]出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/03/03メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見るAERAに、佐藤優氏による『教誨師』(堀川惠子著)の書評が掲載された。 少しでも長く生きたいという死刑囚の本能と、機…

“どんなことも、私たちが共に過ごした人生を、私たちが共になしとげたすべてを、私とエリ―から奪うことはできない。私たちは決して、別々になることはないんだ” 『フランクル『夜と霧』への旅』 河原理子 平凡社

フランクル『夜と霧』への旅作者: 河原理子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/11/24メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (8件) を見るフランクルの私生活は,その著作ほどには知られていない.家族などいろいろな人へのインタビューが本…

“土居の第一世代の弟子となった石川は、土居が亡くなる二〇〇九年まで四五年間、「土居ゼミ」に通い、最期まで師事した” 『永山則夫 封印された鑑定記録』 堀川惠子 岩波書店

永山則夫 封印された鑑定記録作者: 堀川惠子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/02/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る2013.12.30追記 12/30深夜,NHKEテレでETV特集,『「永山則夫 100時間の告白」〜封印された精神鑑定の真実〜…

“自死が少ないのは、風土だけが理由ではない。人と、人を想う人が作りだした場がある” 『自死の少ない町にて −徳島県旧海部町を歩く』 森川すいめい みすず 2012年 12月号 みすず書房

みすず 2012年 12月号 [雑誌]出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/12/03メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る精神科医の森川すいめい氏による小文. 自死が少ないのは、風土だけが理由ではない。人と、人を想う人が作りだした場がある。そ…

“自然は人間の営みとは無関係に美しい” 『秋、穂高で』 医師の山歩き 3 山本太郎 みすず 2012年 12月号 みすず書房

みすず 2012年 12月号 [雑誌]出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/12/03メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る長崎大学熱帯医学研究所に勤める医師である、山本太郎氏による山歩き紀行の連載。秋の穂高行のともとなったのは、フランクル著の…

“自己反省を持つ人にあっては「知ることは超えることである」ということを信じたい。そして、ふたたびかかる悲劇への道を、我々の日常の政治的決意の表現によって、閉ざさねばならないと思う” 『夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録』 V.E.フランクル, 霜山徳爾訳 みすず書房

夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録作者: V.E.フランクル,霜山徳爾出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1985/01/22メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 101回この商品を含むブログ (121件) を見るこの旧訳(霜山訳)は高校時代に読んだのだが,先日新訳(…

“運命とは、人生の中での出会いのことである。出会った人との関係は一生続き、出会ったものごとの影響は、死ぬまで残る” 『運命を生きる――闘病が開けた人生の扉 (岩波ブックレット) 』 浅野史郎 岩波書店

運命を生きる――闘病が開けた人生の扉 (岩波ブックレット)作者: 浅野史郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/05/10メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る寡聞にして,宮城県知事を務めた浅野史郎氏がATL(成人T細胞白血病)…

“心理療法には、どうしても譲ることのできない点がある。それは、人間というものは、憎しみを分かつためではなく、共生共苦の慈悲を分かつために生まれてきた、ということである” 『素足の心理療法  (始まりの本) 』 霜山徳爾, 妙木浩之[解説] みすず書房

素足の心理療法 (始まりの本)作者: 霜山徳爾 ,妙木浩之[解説]出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/04/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る霜山徳爾の名著『素足の心理療法』が,装いを新たにして再刊された.みすず書房の…

“寂しくても、暖かかったと感じてくれたことを、そして、私と出会って、私たち家族と出会って幸せだと思ってくれたことを、今は何にも替えがたい彼女からの最後の贈り物だったと思うのである” 『つひにはあなたひとりを数ふ』 河野裕子と私 歌と闘病の十年 (最終回) 永田和宏  波 2012年 05月号 新潮社

波 2012年 05月号 [雑誌]出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/04/27メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る新潮社,波5月号. 永田和宏氏による連載,「河野裕子と私 歌と闘病の十年」が5月号で了となった.河野裕子は2010年8月に亡くなった歌人…

“情報はイマジネーションがなければ意味をなさない。時には情報がないということが逃げ口上に使われる” 『復興の道なかばで――阪神淡路大震災一年の記録』 中井久夫 みすず書房

復興の道なかばで――阪神淡路大震災一年の記録作者: 中井久夫出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2011/05/11メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 5回この商品を含むブログ (13件) を見る『災害がほんとうに襲った時――阪神淡路大震災50日間の記録』と…

“やはり人間は燃え尽きないために、どこかで正当に認知acknowledgeされ評価されappreciateされる必要があるのだ” 『災害がほんとうに襲った時――阪神淡路大震災50日間の記録』 中井久夫 みすず書房

災害がほんとうに襲った時――阪神淡路大震災50日間の記録作者: 中井久夫出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2011/04/21メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 94回この商品を含むブログ (33件) を見る 中井久夫の書いたものから多くのものを…

“ダイモーンに対して取りうる最上の態度とは、それを避けることではなく、その声を耳を澄ませて聴き、そのいわんとするところを理解することだ。悲劇とは、自分のダイモーンを自覚できなかった者たちの敗北の物語にすぎない” 『再会と別離』 四方田犬彦, 石井睦美 新潮社

再会と別離作者: 四方田犬彦,石井睦美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る50を越えた人間二人が,再会し,自身の別離と,そして再開を語る.齢50を越えた人だけが語ることので…

“人間がやっかいなのは決して社会の腐敗のせいだけではない” 『震える山―クールー、食人、狂牛病』 ロバートクリッツマン, Robert Klitzman, 榎本真理子訳 法政大学出版局

震える山―クールー、食人、狂牛病作者: ロバートクリッツマン,Robert Klitzman,榎本真理子出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2003/11メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 3,505回この商品を含むブログ (5件) を見るちょっと変わった本ともいえる.サ…

“彼らに必要なのは、反社会性人格障害者に対して行うような矯正教育や激しい罰則ではなくて、コミュニケーションスキルの獲得ということになる” 『知らずに他人を傷つける人たち  (ベスト新書) 』 香山リカ ベストセラーズ

知らずに他人を傷つける人たち (ベスト新書)作者: 香山リカ出版社/メーカー: ベストセラーズ発売日: 2007/02/09メディア: 新書購入: 7人 クリック: 134回この商品を含むブログ (27件) を見る香山リカさんという精神科医はテレビによく登場する.タレント指向…

“統計は全体を俯瞰する方法であって、わたしを知る方法ではない” 『百万回の永訣―がん再発日記  (中公文庫)』 柳原和子 中央公論新社

百万回の永訣―がん再発日記 (中公文庫)作者: 柳原和子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (7件) を見るBSアーカイブス ハイビジョン特集「百万回の永訣 柳原和子 がんを生き抜く」…

“何千もの幸運な偶然によって、あるいはお望みなら神の奇跡によってと言ってもいいが、とにかく生きて帰ったわたしたちは、みなそのことを知っている。わたしたちはためらわずに言うことができる。いい人は帰ってこなかった、と” 『夜と霧 新版』 ヴィクトール・E・フランクル 池田香代子訳 みすず書房

夜と霧 新版作者: ヴィクトール・E・フランクル,池田香代子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2002/11/06メディア: 単行本購入: 48人 クリック: 398回この商品を含むブログ (372件) を見るヴィクトール・E・フランクル,『夜と霧』の池田香代子の新訳によ…

“「非行」というものは、人間のしでかす、わりと一般的な行為であるから、「非行」を考えるということは、つまり人間を考えるということである” 『「非行」は語る―家裁調査官の事例 (新潮選書)』 藤川洋子 新潮社

「非行」は語る―家裁調査官の事例ファイル (新潮選書)作者: 藤川洋子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/01メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る1951年生まれ,家庭裁判所の調査官を長く務めてきた人の著作.事例ファイルと副…

“人間は表流水ばかりに気をとられないで、時には自分の川底をひっくり返して攪拌しなければいけないのかもしれない。” 『腰痛放浪記 椅子がこわい  (新潮文庫) 』 夏樹静子 新潮社

腰痛放浪記 椅子がこわい (新潮文庫)作者: 夏樹静子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/07/30メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 118回この商品を含むブログ (34件) を見る初出は,『椅子がこわい 私の腰痛放浪記』(文藝春秋,1991年刊)である. 世の中…