“自分たちでちらし作って、上演先を探して回って、頭下げて、それでも文楽がやりたいのかどうかー状況が厳しくなれば、やめるものも出てくるでしょう。でも、好きな者だけが集まって、やればいいんです。芸を受け継ぐとはそういうことです” 『人間、やっぱり情でんなぁ』 竹本住大夫、樋渡優子 文藝春秋

人間、やっぱり情でんなぁ作者: 竹本住大夫,樋渡優子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/10/14メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 昨年、惜しまれつつ引退した、人間国宝竹本住大夫への聞き書き。魂がこもっているというか、背筋がまっ…

私の読書2014年のベスト10冊(その3)

2014年私にとっての10冊(おまけ2冊)は以下です。順不同です。 :『コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書) 』 平田オリザ 講談社 :『教誨師』 堀川惠子 講談社 :『セラピスト』 最相葉月 新潮社 :『 たとへば君 四十年の恋歌 (文春文庫)』 …

私の読書2014年のベスト10冊(その2)

2014年私にとっての10冊(おまけ2冊)は以下です。順不同です。 :『コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書) 』 平田オリザ 講談社 :『教誨師』 堀川惠子 講談社 :『セラピスト』 最相葉月 新潮社 :『 たとへば君 四十年の恋歌 (文春文庫)』 …

私の読書2014年のベスト10冊(その1)

2014年私にとっての10冊(おまけ2冊)は以下です。順不同です。 :『コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書) 』 平田オリザ 講談社 :『教誨師』 堀川惠子 講談社 :『セラピスト』 最相葉月 新潮社 :『 たとへば君 四十年の恋歌 (文春文庫)』 …

“家族って「ある」ものじゃなかった。家族は「する」ものだったんだ” 『世界から猫が消えたなら』  (小学館文庫)  川村元気  小学館

世界から猫が消えたなら (小学館文庫)作者: 川村元気出版社/メーカー: 小学館発売日: 2014/09/18メディア: 文庫この商品を含むブログ (23件) を見る 高校生の息子がアメリカへの小旅行の折り、成田で買って読んできたらしい。いかにもライトノベル風で、帯の…

“” 『その女アレックス 』 (文春文庫)  ピエール・ルメートル 文藝春秋

その女アレックス (文春文庫)作者: ピエール・ルメートル出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/11/28メディア: Kindle版この商品を含むブログ (23件) を見る 2014年「このミステリーがすごい!」など国内ミステリランキング総なめ。フランス原作で、2012年…

“ジャンル小説には、内容を心髄にまで削ぎ落とし、それをさらに煮詰めることで、変転に次ぐ変転を、さながら夢のごとく鮮やかに展開することもできる。まるで、誰もが一度は見たことがあり、ともに分かちあうことのできる夢のように。いかに稚拙な内容であろうと、いかに非現実的な内容であろうと、ぼくらになんらかの真実を指し示してくれる夢のように” 『二流小説家』 ハヤカワ・ミステリ文庫 デイヴィッド・ゴードン, 青木千鶴 早川書房

二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕作者: デイヴィッド・ゴードン,青木千鶴出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/01/25メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (24件) を見る二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: デイヴィッド…

“人間の日常性の特徴の一つとして「おしゃべり」を重要視した哲学者がいましたが、私たちも大切な「ことば」と、なお一層大切な「沈黙」について考えてみたいと思います” 『 うつわの歌』 【新版】 神谷美恵子 みすず書房

うつわの歌【新版】作者: 神谷美恵子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/08/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見る神谷美恵子(1914-1979)さん作による詩,および訳詩を集めたもの。 帯より 生誕100年 新編集愛蔵版 この世の いのちだけが…

“そして、いつの日か再び、「常識を覆す」本物の大発見に出会えることを楽しみにしている” 『捏造の科学者 STAP細胞事件』 須田桃子 文藝春秋

捏造の科学者 STAP細胞事件作者: 須田桃子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/01/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (48件) を見る STAP騒動を、報道の現場から取材を続けた、毎日新聞記者、須田桃子氏による著書。発表時の興奮から、騒動の顛末ま…

“忘れられないのは、川口さんがあの原稿に目を通した直後、皇后様のことを「あの方は三十年もの間、これだけ豊かなものを心に秘めてこられたのですね」と嘆息ともいえる深い感慨をロにしたことだ” 『私たちの幸せ - 皇后様のこと』 (父と母の娘 第11回) 末盛千枝子 波 2015年 02月号  新潮社

波 2015年 02月号 [雑誌]出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/01/27メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見るIBBY(International Board on Books for Young People)国際児童図書評議会第26回世界大会(ニューデリー)における美智子妃殿下による基…

"本の中には、さまざまな悲しみが描かれており、私が、自分以外の人がどれほどに深くものを感じ、どれだけ多く傷ついているかを気づかされたのは、本を読むことによってでした” 『橋をかける 子供時代の読書の思い出』  (文春文庫)  美智子 文藝春秋

橋をかける―子供時代の読書の思い出作者: 美智子出版社/メーカー: すえもりブックス発売日: 1998/11メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 33回この商品を含むブログ (20件) を見る橋をかける―子供時代の読書の思い出作者: 美智子出版社/メーカー: 文藝春秋発…

“どちらの正義が正しいか、ではない。だが、「正義」というプロパガンダの裏に隠れた、人々の声を聴くのは、とても難しい” 『わたしの「正義」とあなたの「正義」を入れ替える』 酒井啓子 みすず 2014年 12月号  みすず書房

みすず 2014年 12月号 [雑誌]出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/02メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る中高生の間で、Sekai no owari が人気だと言う。何度もDownLoad されるという、少し変わった売れ方をしているらしい。この不思議…

“これは、普通の人が普通のこととして行っている行為が、いつの間にか私たちには特別な人が行う特別な行為のように見えてくる、という不思議な物語である” 『おみおくりの作法』 銀の街から 沢木耕太郎 

Still Life (2013) [Italian Edition]出版社/メーカー: BIM発売日: 2014/05/22メディア: DVDこの商品を含むブログ (3件) を見るポスター A4 パターンC おみおくりの作法 光沢プリント出版社/メーカー: 写真フォトスタンド APOLLOメディア: この商品を含むブ…

“一つの台詞が、時間を遡り美しい過去の記憶の中に入ったり、不思議な感覚になることがあります。そこが清水さんの戯曲の面白さかもしれません” 『火のようにさみしい姉がいて』 2014.10 シス・カンパニー公演 パンフレット

火のようにさみしい姉がいて96 木冬社公演パンフレット 清水邦夫・演出 蟹江敬三 樫山文枝 松本典子出版社/メーカー: 月映書店メディア: おもちゃ&ホビーこの商品を含むブログを見る清水邦夫全仕事 1958~1980作者: 清水邦夫出版社/メーカー: 河出書房新社…

“彼らは勤勉に働くことで 紋切り型の黒人像を変えた 高いモラルと威厳ある振る舞いによって 人種間の壁を崩していった 執事やメイドは隷属的と言われるが 彼らは戦士なのだ” 『大統領の執事の涙』 ウィルヘイグッド, Wil Haygood, 中村佐千江訳 原書房

大統領の執事の涙作者: ウィルヘイグッド,Wil Haygood,中村佐千江出版社/メーカー: 原書房発売日: 2014/02/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る大統領の執事の涙 [DVD]出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店発売日: 2014/08/15メディア: DV…

“こうした彼女の行動には、少女時代に軍国主義の操り人形とされた過去への、強い自責の念が感じられる。アラブ問題に強い国会議員を18年勤め、鶴見俊輔や三木睦子らとアジア女性基金を設立、民間レベルでも元従軍慰安婦問題解決に腐心したことは、重要である” 『過去への自責の念行動に 女優・李紅蘭を悼む』 四方田犬彦 朝日新聞 2014年9月17日

女優山口淑子さん(李紅蘭)の訃報が伝えられた.山口淑子の名は,参議院議員の名前として,李紅蘭の名は,激動の時代を中国で生きた女優の名として,わずかに知っていた.特に後者については,何度かドラマ化されたのを見たことがある.最近のところでは恐…

“ケインは社会のどん底で長い時間を過ごし、どん底に漂う問題を扱った。それは事実だ” 『 カクテル・ウェイトレス』  (新潮文庫) ジェームズ・M.ケイン, James M. Cain 解説:チャールズ・アルダイ 新潮社

カクテル・ウェイトレス (新潮文庫)作者: ジェームズ・M.ケイン,James M. Cain,田口俊樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/08/28メディア: 文庫この商品を含むブログ (8件) を見る長く生きていると良いこともあるものだ.もう一度会いたいと思っていた人…

“清志郎は届けられた遺品の中にあった実母の写真をいつも持ち歩いては、とてもうれしそうに、みんなに自慢するかのように見せていた” 『あの頃、忌野清志郎と  ボスと私の40年』 片岡たまき 宝島社

あの頃、忌野清志郎と ~ボスと私の40年作者: 片岡たまき出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2014/07/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る忌野清志郎の衣装係,マネージャを務めた著者の思い出話という色彩が強いが,忌野のすぐ近くにいた人に…

“彼は現役の大統領でありながら、明らかにアメリ力の知的少数派に属している” 『詩人フロストとオバマ大統領』 川本皓嗣  図書 2014年 09月号  岩波書店

図書 2014年 09月号 [雑誌]出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/08/27メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見るアメリカ大統領としてのオバマへの評価は,現在必ずしも高くない.黒人の血をひく大統領として,リベラル民主党の党首として期待され…

“人はみな、もう一つの何かを胸に抱えたまま死んでいく。それを真実とは、呼べないけれど” “異文化とは外国のことではない。異なる世界はすぐ隣にある” 『なんといふ空』 最相葉月 PHP研究所

なんといふ空作者: 最相葉月出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2014/07/23メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る最相葉月氏の書いたノンフィクションは,『絶対音感』『青いバラ』『星新一 一〇〇一話をつくった人』『セラピスト』と…

“気鋭の考古学者が挑んだ「日本人のルーツ」は、やがて 「神の手」の異名を持つ藤村新一へ 石に魅せられた者たちの天国と地獄。” 『 石の虚塔: 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』 上原善広 新潮社

石の虚塔: 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち作者: 上原善広出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/08/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (15件) を見る世紀の大事件となった2000年に発覚した旧石器捏造事件.これまでスクープをものにした毎日新聞の…

“大日本帝国軍は大局的な作戦を立てず、希望的観測に基づき戦略を立て、陸海軍統合作戦本部を持たず、噓の大本営発表を報道し、国際法の遵守を現場に徹底させず、多くの戦線で戦死者より餓死者と病死を多く出し、命令で自爆攻撃を行わせた、世界で唯一の正規軍なのである。私が問いたいことはこうだ。 それは、正規軍と言える質だったのだろうか?” 『愛と暴力の戦後とその後』(現代新書) 赤坂真理 講談社

愛と暴力の戦後とその後 (講談社現代新書)作者: 赤坂真理出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/06/27メディア: Kindle版この商品を含むブログ (7件) を見る文庫化された『東京プリズン』を書店で見つけて購入.何か聞いたことがある程度の認識であったが,い…

”アーレントはカント講義のなかで、判断力が機能するためには人間の社交性が条件であり、人間は「精神的諸能力のためにも仲間に依存している」と語っていた。つまり複数で生きる人びとが共通感覚をもつためには、相互の仲間を必要とするといぅことである。判断は他者との関係のなかでおこなわれ、他者の立場から物を考える「拡張された思考様式」を要請する。判断力は、他者の視点から世界がどのように見えるかを想像する力を前提としている” 『ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 」』  (中公新書) 矢野久美子 

ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)作者: 矢野久美子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/03/24メディア: 新書この商品を含むブログ (32件) を見る第六章 政治と思想 1 「論争」以後 P.195 ベテルハイムは、『イェル…

”アーレントは戦時中の体験から、「世界は沈黙し続けたのではなく、何もしなかった」と考えていた。大量殺戮が始まる以前の一九三八年の「水晶の夜」にたいする各国の言論上の非難は、難民の入国制限を進めるといぅ行政的措置と矛盾していた” 『ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 」』  (中公新書) 矢野久美子  中央公論新社 (2/3)

ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)作者: 矢野久美子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/03/24メディア: 新書この商品を含むブログ (32件) を見る第四章 1950年代の日々 1 ヨーロッパ再訪 2 アメリカでの友人たち …

“アーレントはナチズムやスターリニズムの終焉後も生き残りうる「全体主義的な解決法」(複数性の抹消)にたいして警告を発しつづけたのだった”  『ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 」』  (中公新書) 矢野久美子  中央公論新社 (1/3)

ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)作者: 矢野久美子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/03/24メディア: 新書この商品を含むブログ (32件) を見るハンナ・アーレントの伝記,解説として,出色の本. 最晩年のハンナ…

“道具は消費财ではないのだ。だから飽きるということと無縁だ。毎日使う庖丁を,自分で手入れすることはかけがえのない実生活に差し向かうということでもある” 『有次と庖丁』 江弘毅 新潮社

有次と庖丁作者: 江弘毅出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/03/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 大阪,京都の伝統によって守られている,庖丁の歴史.新潮社「波」に連載されていたものが,多くの魅力的な写真とともに本になった.単…

“だからどうすべきかは政治家に任せるべきだという意見をしばしば耳にします。 それは、学者にとって楽な生き方です” 『リスクと向きあう 福島原発事故以後』 中西準子, 河野博子 中央公論新社

リスクと向きあう 福島原発事故以後作者: 中西準子,河野博子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/11/22メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 59回この商品を含むブログ (9件) を見る中西準子さん(紫綬褒章も受章している大先生です)のお名前は、30…

“青春小説---と思いきや、XXXからXX行目(絶対に先に読まないで!)で、本書はまったく違った物語に変貌する” 『 イニシエーション・ラブ』  (文春文庫) のカバーより 乾くるみ 文藝春秋

イニシエーション・ラブ (文春文庫)作者: 乾くるみ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/09/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るライトノベルの類のものを読むことはないのだが,「これだけは」と薦める声をあまりに多く聞く昨今なので読んで…

“「限界の学習」ということで話が終わっているなら、ここまで心 に響く物語にはなるまい。そうした学習を遂げたあとに、人はどうふるま うのか。イシグロはつねに、そこにも目を向ける。” 柴田元幸 蜷川幸雄演出『わたしを離さないで』上演プログラム

蜷川幸雄演出『わたしを離さないで』上演プログラム Kazuo Ishiguroの小説“Never let me go”(『私を離さないで』)が,映画化された時,その映画パンフレットに,蜷川幸雄が舞台化を考えているということが書いてあったと記憶している.あの小説が書かれた…

“人は何の経験がなくとも、バカになつて突つ込んでいけば、誰か助ける人が出てきてくれる” 『イベリコ豚を買いに』 野地秩嘉 小学館

イベリコ豚を買いに作者: 野地秩嘉出版社/メーカー: 小学館発売日: 2014/03/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (15件) を見る野地秩嘉さんの書いたものとの出逢いは随分と昔になるが、気負いのないよい文章を書く人である。目線が低く保たれていて、安…