『文字の母たち Le Voyage Typographique』 港千尋 インスクリプト

文字の母たち Le Voyage Typographique

文字の母たち Le Voyage Typographique

とにかく美しい本である.

被写体は,金属の活字,それを扱う人々,印刷機械.そしてそれに端正な文章が添えられる.活版印刷は今や風前の灯火.「活字を拾う」という表現はそのうち忘れられていくのだろうか.

この本を眺めていると,金属活字ひとつひとつの持つ歴史,そして,活字に刻まれた文字そのものの持つ歴史に思いが馳せる.白川静の世界につながっていくような気がする.

下記は,帯から転載.

世界でもっとも古い印刷所のひとつ、
パリ・フランス国立印刷所、
秀英体活字を伝える東京・大日本印刷
いまや絶えようとする活版金属活字の最後の姿をとらえ、
文字の伝播の歴史を繙く写真集。

著者による小文,「字は活きている」(『図書』2010年2月 第732号)によれば,フランス国立印刷所も大日本印刷の活版部門ももはや存在しないらしい.

【読んだきっかけ】渋谷Bunkamuraナディフモダンという書店で一目惚れ.値段も厚さも手頃.
【一緒に手に取る本】

書物の変―グーグルベルグの時代

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