“人が人のことをいとおしく思い合う力があれば,世界中にそんな男女が一組でも残っていれば,絶対に核のボタンを押さないんじゃないか” 『つかこうへい (文藝別冊)』 河出書房新社
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(2011.7.9追記)
3月に放映されたNHKの『つかこうへい よみがえる伝説の舞台』が今日再放送された(2011年7月9日(土)11時00分〜12時30分).日本での成功を礎にして,祖国韓国での凱旋を試みるも見事に裏切られたあの舞台である.韓国では早すぎたのか,あるいは遅すぎたのか.在日韓国人としてのマラーノ性.口立ての演出風景をはじめてみる.つかこうへいの自然な人間がよく表れていて,なぜだか涙がでてくるような,いい番組でした.
激しい過激なせりふがその芝居の特徴でもあるが,つかこうへいの芝居の根底にあるのは人間愛であるように思う.特に,カーテンコールの演出において,役者への深い愛情をいつも感じるのだ.
奇しくも最近,北区つかこうへい劇団,解散のニュースが入った.つかのあとをつげるものは誰もいない,とのこと.なんと,つか芝居のシナリオが,劇団のHPからDLできる(ここ).
(追記おわり)
「わが街わが友」(東京新聞2001年)より(p.30〜38)
「人が人のことをいとおしく思い合う力があれば,世界中にそんな男女が一組でも残っていれば,絶対に核のボタンを押さないんじゃないか」という願いをこめて書いたこの作品は,同じパルコ劇場で稲垣吾郎を主演に再演されました.
「この作品」とは,「広島に原爆を落とす日」を指す.
色川大吉との対談「誰が読書を殺したか」より(朝日ジャーナル1978年)(p.136-149)
つか:たとえば,『戦争と平和』なんてのは,登場人物表を片手に持って読まないとわからないようなところがあるでしょう.昔は,そんな本でもまめによめたんですけど,最近は,もうだめです.というのは,ぼくを含めていまの若い人は,電車の中だけでしか本読まない.この間,渋谷から新宿までの間でドストエフスキーを読む人もいましたけれど,電車の中が読書室,そういう時代になってきた.
色川:やることが増えて生活が忙しくなったんでしょうか.
30年経って,電車の中でさえ本を読む人をみかけなくなった.
同年代である横内謙介氏の思い出(p.101-105)は,私のそれと重なるところがある.1980年高田の馬場の小劇場,東芸劇場での「初級革命講座 飛龍伝」を私も観ているのであり,私の演劇初経験であった.田舎から出てきたばかりの一青年にとって,あの2時間からうけた衝撃ははかりしれない.
つかの初期の小説『弁護士バイロン』には,昼間は,洒落た服を着て闊歩する弁護士だが,その生活を維持するために夜は土方仕事のアルバイトに励む主人公がでてくる.つかこうへいも,隠れた勉強家であった.
NHKの番組,『つかこうへい:日本の芝居を変えた男』 放送局:NHK総合/デジタル総合 放送日:2010年12月24日(金) 放送時間 :午後10時〜午後10時43分をみた.
『つかこうへい よみがえる伝説の舞台』2011年3月27日残念ながら見落とす.
【関連ブログ】『本は、これから (岩波新書) 』 池澤夏樹編 岩波書店
つか演出の最後の芝居をみた.黒木メイサ主演「飛龍伝 2010 ラストプリンセス」
『ふたつの嘘 沖縄密約[1972-2010] 』 諸永裕司 講談社
【読んだきっかけ】
『本は、これから (岩波新書) 』 池澤夏樹編 岩波書店ででてきた,幸福書店でみかけて思わず購入.
【一緒に手に取る本】
つかこうへいの本,残念ながらほとんどが絶版
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