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“まじめな人がバカをみない日本であってほしいのだ” 『世界で損ばかりしている日本人  (ディスカヴァー携書) 』 関本のりえ ディスカヴァー・トゥエンティワン

若者の国際化離れ(学問の世界でさえ!)が言われる中,国際機関で働き続けてきた日本人からの提言.
裏表紙より

グローバル化が叫ばれ、これまでより一層,日本人が世界で活躍していかなければならない時代に必要なものとは何か。
ILO(国際労働機関)、FAO(国連食糧農業機関)、OECD経済協力開発機構)、ADB(アジア開発銀行)、WB(世界銀行)…。
数々の国際機関で人的資源管理専門家として活躍してきた著者が、豊富な経験と実感から伝える、岐路に立っている日本、そして日本人への提言。

「損をしない日本人」になるための6つの秘訣とは,

わかりきったことでも言語化する
相手に攻撃されたら,絶対黙っていてはいけない
たまには相手が話し終えるのを待たないで話し出す.
謙遜は絶対してはいけない.
自分の意思をはっきりさせる
相手の気持ちはこの際無視する

“過去五十年、欧米人と議論や口論になった場面で、私は負けたことがない” という人の本,『言葉でたたかう技術』を読んだばかり.ますます,国際社会が嫌いになる若者は増えそうな気もする.『日本人の美風 (新潮新書)』読んでいるが,美風と国際社会の乖離はかくも大きい.だが,両刀遣いもできないことはあるまい.しかし,「少しくらい損したっていいじゃない」というのが日本人の美風かも.

 相手の気持ちを推し測るということについて、アメリカ人は日本人ほど訓練されていない。相手が何を言うか、ということだけに彼らの意識は集中しがちだ。
 一方日本人は、「相手が本当は何を言いたいのか、思っているのか、何をしたがっているのか」ということに気を配る。

したがって,国際人になるためには,「気を遣わない」ことに気を配らないといけないらしい.

3.11に際し,坦々と被災地の様子を伝えるNHKに対し,アメリカのCNN,FOX News などは,不安をあおるセンセーショナルな報道に終始し,ヒステリックなアナウンサーの声が耳に残るなかり,という.BBCは比較的冷静.ある人によると,「NHKアルジャジーラだけが,大げさに言葉を飾ることなく,たんたんと放送していた」という.

P.69

国際社会で成功するということは、「日本人の自分」を売ってしまうということである。そう思って「変わることをあえて拒否する」組と、そんなことでは国際社会で理解されないと、日本人が古来から持っている美徳さえ拒否するような「日本人であることをやめた」組。こんなに違った価値観を持つ両者は互いに理解できないし、助け合うこともまずない。

P.99

たとえばOECDで物事が決まっていくには、相当の時間がかかる。まず議題にのせるまでに相当の準備時間が必要だし、のってからも、決定に5〜10年かかることもありうる。
 日本政府がのんきに構えている間に、アメリカ政府は自分たちの得になる案件を議題にのせる運動をおこたらない。そして、議題にのせるやいなや、本会議での交渉に入るまでに、自国の官僚たちと時間をかけて相当の準備をする。(『花の都パリ「外交赤書」』篠原孝著をご参照のこと)。
 一方、日本には官僚の人事異動があるうえ、対応が遅いため、日本に不利になる約束事が、あれよあれよという間に決まってしまうのだ。
 言うに忍びないのだが、このように日本は、お金を出すばかりで元を取っているとはまったく思えない。国際協力や貢献活動はもちろん元を取るために行うわけではないのだが、あれだけのお金を支払っているのだから、国際政治の場で日本政府はもっと意見を言ってもいいのではと思う。

国際機関で働く日本人,特に,官庁から派遣されてきた人たちは,きわめて優秀で,一般教養も深く,倫理意識も高い,という.フランスを除く他のG8国においては,国の役人というものが実はそれほどエリートではない,らしい.しかし,国際機関のようなところでは,「頭が良いだけではダメ」なのであって,大事なのは「組織内でどれだけ影響力を持つか」,つまりは,自国の利益になるように,「相手に仕事をさせる力を持つか」であるとのこと.

英語に苦労していないドイツ人も,日本人と同じくらい影が薄い.戦争に負けたことがその原因ではないかというのが,筆者の推測.これは,正しいと思う..

【関連読書日誌】
“過去五十年、欧米人と議論や口論になった場面で、私は負けたことがない” 『言葉でたたかう技術』 加藤恭子 文藝春秋
【読んだきっかけ】
娘が国際機関に興味を持ったので,国際機関で働く友人に相談したら薦められた本.
【一緒に手に取る本】

言葉でたたかう技術

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これも同様に薦められた本(未読)
ユネスコ事務局長奮闘記

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著者は,小野ヨーコさんの妹.
女ひとり世界に翔ぶ ― 内側からみた世界銀行28年

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花の都パリ「外交赤書」 (講談社+α新書)

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日本人の美風 (新潮新書)

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