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“彼らに必要なのは、反社会性人格障害者に対して行うような矯正教育や激しい罰則ではなくて、コミュニケーションスキルの獲得ということになる” 『知らずに他人を傷つける人たち  (ベスト新書) 』 香山リカ ベストセラーズ

知らずに他人を傷つける人たち (ベスト新書)

知らずに他人を傷つける人たち (ベスト新書)

香山リカさんという精神科医はテレビによく登場する.タレント指向のの学者,医者さんの一人かと思われるかもしれないが,その発言や書いたものは,しっかりしていて,信頼できる.
副題に,『モラル・ハラスメントという「大人のいじめ」』.
モラル・ハラスメントとは,フランスの女性精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌの定義によれば「ことばや態度で繰り返し相手を攻撃し,人格の尊厳を傷つける精神的暴力のことである」

「職場」の場合はいちばん組織的な空間ということで,「家庭」の場合はいちばん親密な空間ということで,そこで起きている問題がモラハラだとは誰もが気づきにくいからである.

モラハラは,「ゆがんだ自己愛」が原因で,加害者は,次の4つに分類される.

A 誇大妄想型
B 徹底管理主義型
C 被害妄想型
D 怠業型

P.53

最近、職場だけ「うつ」になるという“特殊なうつ病”が増加している。この「職場だけのうつ病」はこれまでのうつ好発年齢とは異なる三十代に多いことから、私はこの“新しいうつ病”に「三十代うつ」という名前を与えた。
 「怠業型」のモラハラ上司にも、年齢は四十代、五十代であってもこの「三十代うつ」やそれに似た人が含まれていると思う。

P.60

彼ら(三十代うつ)の多くは、「自分に甘く他人に厳しい人たち」である。しかも、その自覚は乏しく、自分はまわりの人に比べ、遠慮がちで気をつかうタイプなので、結果としていつも損をしている、と考えている。

P.71

 職場や家庭のモラハラと同様、「三十代うつ」に陥っている人たちは、実は自己愛を肥大させて自己確認しなければいられないほど、自分に自信のない人たちなのである。

P.103

 いまだに「謙譲の美徳」「能あるタカは爪を隠す」といった格言が生きている日本社会では、私たちは自己愛性人格障害のハードルをもっとさげなければならないだろう。

P.105

 たとえば、「身近な他人の気持ちがわからない人」「身勝手なコミュニケーションの一方通行しかできない人」くらいの言い方のほうが、日本人にはピンとくるのではないだろうか。もっと言えば、自己愛というよりは他者への気配り、思いやりがないのだ。

P.116

 彼らに必要なのは、反社会性人格障害者に対して行うような矯正教育や激しい罰則ではなくて、コミュニケーションスキルの獲得ということになる...

P.129

 二〇〇五年の世界的な調査でもっとも自己肯定感が高いのはデンマークの子どもということがわかったが、この国の義務教育は「覚えるのでなくて考える」という独自の教育法が採用されており、その結果、読み書きなどの学力成績は近隣諸国に比べてもかなり低いことが問題になっていた。

P.134

 かつて漫才師のハイヒール・リンゴさんが、女性雑誌に不妊治療の体験記を寄せたことがあった。そこで強調されていたのは、治療そのもののしんどさではなく、不妊治療クリニックの待合室での人間関係のつらさであった。

P.137

 原因になる権力や立場の違いが小さければ小さいほど、「いじめ」や「モラハラ」は陰湿かつ解決が困難になる。だから考えようによっては、「権力の濫用」の一環と考えられる部長からの職場モラハラよりも、「公園で私だけブランドバッグじゃないから白い目で見られる」という“ママ友”モラハラのほうが、事態としてはより深刻だともいえるのだ。

P.158

『女性自身』二〇〇六年一月三十一日号のモラハラ関連記事には、実にシビアな「モラハラkら逃げ出すための5か条」が掲げられている。引用させてもらおう。
 第一条 「もしかしてモラハラ?」という感覚に目をつぶらない
 第二条 相手を理解しようとする気持ちを捨てる
 第三条 自分を卑下する気持ちを捨てる
 第四条 自分らしく生きられないことが何よりも辛いと認識する
 第五条 自立して生きられる自分の世界を確立する

【関連読書日誌】
【読んだきっかけ】
地元の本屋にて.出たのは4年も前.買ったのはこの間.
【一緒に手に取る本】

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こころの暴力 夫婦という密室で―支配されないための11章

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