”健全な思索のためには他者との交流も必要であり,その基礎には他者に対する敬意と誠実な態度、そして異質なものを受け入れる寛容性と、少しばかりの冒険心が必要である” 『高坂正堯(こうさかまさたか)教授の書斎』 細谷雄一 考える人 2011年 11月号 新潮社

考える人 2011年 11月号 [雑誌]

考える人 2011年 11月号 [雑誌]

 新潮社の季刊『考える人』に掲載された2ページの小文.
大学院修士課程の時に授業を受けた,故高坂正堯教授の京都の旧宅を縁あって訪れ,亡くなってから15年後の今もそのまま保存されている書斎を訪れたというもの.
 尊敬する人,敬愛する人の書斎・本棚を見ることができるというささやかな幸せを感じるのです.

 高坂教授が亡くなるとともに、日本では氏に特徴的な、歴史に根ざした深みのある国際政治学の伝統も薄れていった。今の主流は、氏のような歴史に根付いた古典的な学問方法ではなく、データや数式を多く用いる実証的で合理的な方法論である。

氏が残した、時代を越えた価値を持つ著作の数々を開くたびに、「学問の進歩」という言葉の意味を考え込んでしまう。

健全な思索のためには他者との交流も必要であり,その基礎には他者に対する敬意と誠実な態度、そして異質なものを受け入れる寛容性と、少しばかりの冒険心が必要であることを、深く感じることのできた「書斎見学」であった。

筆者の細谷雄一氏は,政治氏を専門とする慶応大学教授.読売新聞の書評委員も務めている.
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