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“異なった系統の異なった進化を遂げた「眼」も高い類似性や相似性を有する” 『The eyes』 堀内二彦 創英社/三省堂書店

The eyes

The eyes

新宿小田急三省堂書店で,こんな面白い本を発見.それも専門書コーナーではなく,新刊書のコーナー付近の目立つところにあった.
 タイトル『The eyes』にあるように,『眼』の博物学といった本.ヒトはもちろん,脊椎動物だけでなく,爬虫類などの脊椎動物タコ,サソリなどの無脊椎動物,はては寄生虫にいたるまで,さまざまな動物の「眼」を扱う.本書の特色は,単に「眼」のことを語るだけでなく,自らその眼を解剖し,写真に撮り,はては,組織標本まで掲載している点である.
 著者は,現役の眼科医である.本書の紹介文より,

カンブリア爆発」で今日見られる多くの生物が爆発的に増えた。それぞれの種は多様な適応戦略を見せ、まったく別の進化を遂げてきた。「眼」もそれぞれの種が特有な視機能を獲得し現在に至っている。しかし、異なった系統の異なった進化を遂げた「眼」も高い類似性や相似性を有する。これが「眼の収斂進化」だ。動物たちの「眼の多様性と収斂進化」に迫る。

 本書のような「XXX」の総合学,博物学といった啓蒙書が日本には少ないなかで、異色の書であろう.ただ残念なのは,多数ある掲載写真の解像度,フォーカスが今一つなのである.「眼」の本であるだけに惜しい.また,ニッスル染色した組織標本の写真も今一つなのである.もうひとつ加えれば,各種動物の眼を扱っているだが,掲載順,あるいは,全体の構成にもう一工夫されれいると良かったかも知れない.
 学問上の分類で言えば,「眼」の比較生理学,比較解剖学といってよいかもしれないが,あくまでも非専門家向けの図鑑,つまり楽しんで読む・見る本であろう.
本書を取り上げてみようと思ったのは,この手の本が出版されたことへの驚きもあるのだが,『
Lower Animals (World University Library)』(Martin John Wells著)が,頭にあったからである.

Lower Animals (World University Library)

Lower Animals (World University Library)

こちらについてはあらためてとりあたい.30年前に買って,今だに手元に置いている本である.
【関連読書日誌】
敢えて何のつながりもなさそうな,下記をあげておこう.

  • (URL)探偵というものが生み出されたのは、ごく最近のことでだった” “ヴィクトリア朝時代の探偵は、俗世における予言者や聖職者の代役であった” 『最初の刑事: ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件』 ケイト・サマースケイル, Kate Summerscale, 日暮雅通訳 早川書房
  • (URL)“We think brains are important, because that is our speciality. It is salutary to reflect that there are plenty of other ways of making a living” 『Lower Animals (World University Library)』 Martin John Wells、 Littlehampton Book Services Ltd

【読んだきっかけ】
新宿小田急三省堂(残念ながら立ち読み)
【一緒に手に取る本】

Lower Animals (World University Library)

Lower Animals (World University Library)

本書でも参考文献にあげられているが,Knut Schmidt-Nielsenによる定評ある教科書の数々.いまこうしてみると,グールドやドーキンスのように人口に膾炙されに至ってもおかしくなかった.Knut Schmidt-Nielsen(1915-2007)は,比較生理学の専門家でDuke大教授であった.
動物生理学―環境への適応

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Animal Physiology: Adaptation and Environment

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Comparative Physiology: Water, Ions and Fluid Mechanics

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  • 作者: K. Schmidt-Nielsen,L. Bolis,S. H. P. Maddrell
  • 出版社/メーカー: Cambridge University Press
  • 発売日: 2011/06/09
  • メディア: ペーパーバック
  • この商品を含むブログを見る
The Camel's Nose: Memoirs of a Curious Scientist

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Scaling: Why is Animal Size so Important?

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日本では何といっても下記でしょう.
ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

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