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“人が人を本当に好きになるということは、こんなにもその人生に深く根をおろすものなのか” 『中村勘三郎の「告白」 関容子 文藝春秋 2013年 02月号

文藝春秋 2013年 02月号 [雑誌]

文藝春秋 2013年 02月号 [雑誌]

太地喜和子との本物の恋」と副題のある,ノンフィクション作家関容子による文章.

師走に急逝した第十八代中村勘三郎が京都の夜を徹して筆者に語った純愛と、その終焉

二十数年前、その店で勘三郎(当時勘九郎)さんが太地喜和子さんとの真剣な恋の話を熱く語ったことがある。
 私は生涯この話を書くことはあるまいと思って聞いたが、彼の亡くなった日の早朝から喜和子さんとのことがテレビの映像で流れ、この恋なくしては今の自分はいなかった、と勘三郎さんが言っているのを見た。
 あのとき、人が人を本当に好きになるということは、こんなにもその人生に深く根をおろすものなのか、と切に感じ入ったことが今も変わらず私の中にある。やはり、書こうと思う。

女優太地喜和子のことは,小田島雄志先生の講義やエッセー集でずいぶんと聞いていた.名女優.不慮の事故で1992年に亡くなっている.一回り年上の太地との恋の物語りである.哀しいけれど,実に良い話.

勘三郎さんの母上が亡くなった日のお通夜の席で、喜和子さんがいち早く駆けつけた.(中略)御遺骸の横にぴったり座って
「あなたの反対で、私は結婚できなかったのよねぇ、あなたのせいで…よ、ねぇ」
 とくり返しながらずっとお酒を飲んでいた。

勘三郎さんはそのとき京都にいたが、最終の新幹線に飛び乗ってお通夜に列席し、銀の薔薇百本を供えたという。

欲望という名の電車』のブランチを演じるときが来たら,贈ると勘三郎が約束していた銀の薔薇百本である.
【関連読書日誌】

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  • (URL)人が人のことをいとおしく思い合う力があれば,世界中にそんな男女が一組でも残っていれば,絶対に核のボタンを押さないんじゃないか”  『つかこうへい (文藝別冊)』 河出書房新社
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【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】

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