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“現象は一元的ではない。多元的で複層的だ。複雑に絡み合っているからこそ、僅かな歯車の食い違いが大きな過ちへと転化して、なし崩し的に事態が進行する” 『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい』 森達也 ダイヤモンド社

―――正義という共同幻想がもたらす本当の危機
 本書の問題提起は,5つの章の章題(下記)及び,そのしたの30余りの節題で,一番よくわかる

第1章:「殺された被害者の人権はどうなる」このフレーズには決定的な錯誤がある
第2章:善意は否定しない,でも何かがおかしい
第3章:「奪われた想像力」がこの世界を変える
第4章:厳罰化では解決できない この国を覆う「敵無き不安」
第5章:そして共同体は暴走する

P.69「守らなければ」という思いが 結局,大切な人を殺してしまう.

 実のところ日本のメディアは、諸外国と比較しても、相当に自由な裁量を行政から認められている。ならばその自由を謳歌しながら思い切り行使すればよいのだけれど、どうやら自由が怖くなるらしい。

P.71 目を背けてはいけない 多くの命が苦しみ、悶えている
動物愛護センタースタッフの叫び声から,死刑の是非へ

 一般の人は見たくても見ることはできない。でもあなたが法曹関係者なら見ることは可能なはずだ。一昔前の司法研修生は刑場に必ず足を運んでいたと聞いたことがある。

P.99 タイガーマスク騒動に見る 薄気味の悪い善意

 善意は否定しない。できない。でも善意は陶酔しやすい。一方的に加速する。だから周りが見えなくなる。その帰結として多くの不合理や不正義を生む。多くの人を苦しめる。

P.216 毎日が「特別警戒」という矛盾 その弊害は深刻だ

 現象は一元的ではない。多元的で複層的だ。複雑に絡み合っているからこそ、僅かな歯車の食い違いが大きな過ちへと転化して、なし崩し的に事態が進行する。

P.218

治安が悪化しているとの前提に危機意識を煽られた世相は、集団化を進めながら敵の不在による不安に耐えられず、自ら敵を作り出す。

P.21 元最高倹検事,土本武司筑波大名誉教授
P.26 勝間勝代氏との対談,死刑制度の廃止について
P.123 ビンラディン殺害とNHK平氏の驚き
P.136 米,仏,伊,独は,何度も憲法改正が行われているが,3分の2かそれ以上の発議用件を定める硬性憲法
P.176 フレデリック・ワイズマン
P.190 戦場写真家 ジェームズ・ナクトウェイ
P.215 叫びたし 寒満月の割れるほど
P.241 自民党が司法制度特別調査会を発足させた背景
P.253 厳罰化に進むアメリカ
P.260 死刑も,終身刑も,無期懲役もないノルウエー.最高刑は禁固21年
P.288 ヨーロッパには指名手配ポスターは存在しない.無罪推定原則による
P.295 NHKスペシャル 『沈黙の村―ユダヤ人虐殺・60年目の真相』
P.313 国家の期限 30年戦争後のウエストファリア条約
【関連読書日誌】

  • (URL)“銃口の向きを変えるためには、おのれの肉体の消滅を賭けて、思想の変革を果たさなければならない” 『イタリア抵抗運動の遺書―1943・9・8‐1945・4・25  冨山房百科文庫 (36) 』 P・マルヴェッツィ, G・ピレッリ編 河島英昭 他訳 冨山房
  • (URL)“恐るべきは国家の犯罪である。弾劾さるべきは、理想に名を借りて犯罪を目的化した国家のイデオロギーである。” 『カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺』 ヴィクトル・ザスラフスキー 根岸隆夫訳 みすず書房
  • (URL)“罪を犯すような事態に、自分だけは陥らないと考える人は多いかもしれません。しかし、入生の明暗を分けるその境界線は非常に脆いものです。” 『裁かれた命 死刑囚から届いた手紙』 堀川惠子 講談社
  • (URL)“わたしの映画は、「仕込み」のない、できごとの記録に基づいたナラティヴの構築物だと言える” 『全貌フレデリック・ワイズマン――アメリカ合衆国を記録する』 編:土本典昭, 鈴木一誌  岩波書店

【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】

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