“古戦場のようなコールセンターで働くうちに、いつの間にか自分の体にはたくさんの言葉の刃が突き刺さっていた。でも、その一本を抜くと、それは自分を傷つける凶器ではなく剣になった” 『督促OL 修行日記』 榎本まみ 文藝春秋

督促OL 修行日記

督促OL 修行日記

ごく普通の成績の冴えない大学生が,就職氷河期信販会社に採用先を決めたものの,配属先がコールセンター.つまり督促を仕事とする部署である.平均以下の成績しか上げられない中,いつのまにか,同期はやめていったり、精神を病んだりして減っていく.本人も体調を崩し,欝になりかけ,いつやめようかという状況であったのが,いつしか,督促のプロになっていくという物語.
督促修業だが,日常の仕事のコミュニケーションにおいて役立つ教訓が多い.さすがと思うのは,どんなひどい事例でも「お客さま」という表現を守り抜いていること.

  • 約束日時は相手に言わせる 
  • 謝るときには「申し訳ございません」だけでなく,具体的に謝る
  • 「ごめんなさい」と「ありがとうございます」の黄金律
  • 見た目より声のトーン
  • ゆっくり=自身
  • 足に本当に気分・人柄が出る
  • 怒鳴る人は待たせない
  • 論理タイプはプライドを傷つけない

 著者の成功は,やはり勉強熱心なんだなと思う.本買って読んだり,セミナーに行ってみたり,本人なりに不得手なところを克服しようとしている.

古戦場のようなコールセンターで働くうちに、いつの間にか自分の体にはたくさんの言葉の刃が突き刺さっていた。でも、その一本を抜くと、それは自分を傷つける凶器ではなく剣になった。

感情労働,心の通り魔など,新しい言葉を知った.
【関連読書日誌】
【読んだきっかけ】家人が図書館より借りてきて,書評かなにかで本書のことを書いた記事を読んだ記憶があるのを思いだした.
【一緒に手に取る本】

督促OL「就活日記」―新潮45eBooklet

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方法としての面接―臨床家のために

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