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“シリコンバレーに本物の「最初」はほとんどないと彼らは考える。すべてのイノべーションは他者の肩の上に築かれるのだ” 『 アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか』 フレッドボーゲルスタイン 訳:依田卓巳 新潮社

アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか

アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか

序章
P.21

ニ〇〇〇年のA0Lにょるタィム・ワーナー買収のように、合併はどれも悲惨な末路を迎え、ニ〇〇五年には「コンバージェンス」というアイデア自体が信用を失って、誰も口にしなくなったほどだった。

第一章 月面着陸のミッション
P.52

友人のジョン・シーリー・ブラウンを介して、ジョブズニューヨーク州北部のガラス製品メーカー〈コーニング〉のCEO、ウェンデル・ウイークスに連絡し、彼をクバチーノ本社に招いて、史上もつとも硬いガラスをiphoneに採用したいと言った。ウイークスは、一九六〇年代に戦闘機のコクピット向けに開発したガラスについて話した。〈ゴリラガラス〉と呼ばれたその素材を国防総省は結局使わず、市場が生まれなかったので、社として数十年前に製造を中止している、と。それを聞いたジョブズは、いますぐ製造に取りかかつてくれとウイークスに言い、半年でそのガラスを提供することを約束させた。ウイークスは、ジョブズの伝記の執筆者ウォルター・アイザックソンに、われながらよくあのとき、やると決めたものだと驚きを語つている。

第二章 アンドロイドはiPhoneを超える
P.85

五年前の二〇〇二年に、デインジャーで働いていた彼らが初めて完全に使える携帯端末用イン夕ーネット・ブラウザ^ーを生み出したのたから。そのことについてルービンに訊くと、持ってまわった言い方だが、はつきりとこう答える。「アツプルはいつもウェブ標準の二番目の採用者だ」。デサルボはもつとずはりと言う。「デインジャーという社名を聞いたことがあるエンジニアは、今日ではおそらく一〇人にひとりだろう。でも、いまのスマートフォンに関連する多くのことは、サイドキックから始まつたんだ」。ゲ―ムのダウンロードを初めて可能にしたのはiPhoneではなく、サイドキックである。サイドキックは人工内耳との接続までできた。「明らかに五年早すぎたんだね。あれをニ〇〇五年に発表していれば、われわれは世界を手にしていただろう。功績を充分認められていない気がするよ」

第三章 発売まで二週間
第四章 友だちだと思っていた
P.110

したがつて、ブリンとペイジとシュミットは、アンドロイド・チームに発破をかけつつも、社内のiPhoneチ―ムにも梃子入れしていた。特筆すべきは、ビック・グンドトラを雇い入れ
て、iPhoneチ―ムの責任者にしたことだ。マイクロソフトの幹部として名を馳せたグンドトラは、そのとき三七歳。職業入生のすべてをビル・ゲイツとステイ―ブ・バルマーのもとで費
し、マイクロソフトと、社外のウインドウズ・ソフトウェアの開発者たち−世界中にいる何万人ものプロ−とをつなぐ要の人物で、技術面の眼識に加えて、ステイ―ブ・ジョブズにも迫る抜群のプレゼンテーション力、リスクと批判を怖れない意志の強さで広く知られていた。マイクロソフトの一九九〇年代の驚異的な成長と市場支配には、グンドトラのたゆみない「布教」活動が大きく貢献している。ウインドウズが成功するとは誰も思っていなかつたころに、ウインドウズ向けのソフトウエアを作ってくれと世界中のプログラマー軍団を説得してまわつたのだ。

P.132

グーグルでは誰もこのときの話し合いについて公式に語ろうとしないが、オフレコではジョブズの態度にいまも困惑していると言う。シリコンバレーに本物の「最初」はほとんどないと彼らは考える。すべてのイノべーションは他者の肩の上に築かれるのだ。トランジスターや集積回路がなければ、インテルモトローラのマイクロプロセッサ―は現れなかった。マイクロプロセッサ―がなければ、PCは現れていないし、PCがなければ、マイクロソフトも、アップルも、現代のソフトウェア産業もなかった。ソフトウェア産業がなければ、ネットスケープのウェブ・ブラウザ礀も生まれていない。ウェブ・ブラウザーがなければ、私たちがいま日常生活で当たりえに思っているものの多くが、この世に存在すらしていなかっただろう。

第五章 裏切りの結果
P.154[

べライゾンのエンジニアがアンドロイドについて気に入ったのは、将来を見すえてプログラムが書かれている点だった。iPhoneも含めて、ほとんどのスマートフォンのソフトゥェアは、定期的なPC接続が必要な設計になっている。しかしアンドロイドは最初から、いつかPCは不要になるという前提で書かれていた。イン夕ーネット接続でもコンピユーテイングでも、スマートフオンが中心になることを見越していたのだ。

第六章 どこもかしこもアンドロイド
P.169 二〇一一年シュミットの講演から

英語で電話をかけると、相手にはその人の母国語で聞こえる製品がある。まるでSFの道具です。想像してみてください。近い将来、誰も、何も忘れなくなるのです。(ポケット)コン
ピユ-夕があなたの許可するすべてを記憶する――どこにいたかも、何をしたかも、誰の写真を撮つたかも。私は道に迷ぅのが好きでした。どこにいるのかわからないまま、ぶらぶら歩くかのが。ですが、もう道には迷えなくなる。いまいる場所が一フイート単位でわかり、許可すれば友人にもわかるのです。旅先でも孤独になることはありません。友人がいっしよに旅行してくれる。話しかける相手、写真を送る相手がつねにいる。退屈することは決してないでしよう。アイデアが種切れになることも。なぜなら、世界中の情報が指先にあるからです。しかもそれはひと握りのエリートのものではない。歴史を振り返れば、こうした技術はエリートだけのためにあり、一般の人たちが使うことはできませんでした。トリクルダウン(訳注:富める者が富めば、貧しい者にも富が浸透していくという理論)があれば、一世代をかけて広がったことでしようが、これはこの惑星に住む全員がアクセスできるビジョンです。生活水準が低く、大学教育や文化に触れる機会のなかった人たちが、七つはどれほど聡明で有能であるか、私たちはこれから知つて驚くことになるでしよう。彼らがこちらへ来て、教えてくれるのです。もう来はじめている。世界に一〇億台のスマートフォンがあり、新興市場での成長速度はどこよりもはるかに速いのです。そのことを考えると、胸の高鳴りを抑えることができません。

第七章 iPadがすべてを変える−巻き返し
第八章 ミスター・クイン、このままでは処罰を下すことになりますよ
P.224

歴史の教科書で起業家たちは称賛される。それは悪いことではないけれども、教科書を体裁よくまとめるために――そして起業家を英雄に仕立てるために――いいところだけを抜粋すると、業績を認めさせようと当人が陰謀をめぐらせ、狡猾に立ちまわった部分がだいたい省かれる。ほぼ例外なく当てはまることだが、そういう起業家は、つまるところ何かを発明したからではなく、競争相手より法廷戦術に長けていたから教科書にのるのだ。

このあと、電話を発明した、アレクサンダー・グラハム・ベルライト兄弟、レーザーの発明者ゴードン・グールド、ミシンのアイザック・シンガーの話が引き合いに出される。
第九章 ついに来た「コンバージェンス」
第十章 一画面づつ世界を変える
P.284

ジョブズはこういう場面を切り抜ける達人だった。ニ〇一〇年、なぜiPadが重要なのかと尋ねられて、こう答えた。「アメリカが農業国だったとき、車はすべてトラックだった。農場で必要とされたからた”でも都市部で乗られるようになると、車の人気ががぜん高まった。オートマティツク・トランスミツシヨンやパワーステアリングなど、トラツクにはあまり関係のなかったイノべーシヨンが、乗用車では何より重要な機能になった……PCはトラックのようになる。まだ出まわっているし価値も大しにあるが、やがて一部の人しか使わないものになるだろう」。ジョブズも将来の製品については具体的に明かさなかつたが、ビジヨンが明確なので、そんなことはどうでもいいと思わせる力があった。

【関連読書日誌】

  • (URL)ベル研究所の歴史を振り返ると、現実はそれほど単純なものではないことがわかる。またそこからは、われわれが市場の価値を過大評価しがちであることが読み取れる” 『世界の技術を支配する ベル研究所の興亡』 ジョン・ガートナー 文藝春秋 (その3/3)

【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

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