2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

“網野さんが豊かな想像力と批判精神をとおして創造しようとした歴史学は、墓石も記念碑も土の下に埋葬されてきた人間たちのために、記憶の大地にみずみずしい花を咲かせようとすることだった” 『僕の叔父さん 網野善彦  (集英社新書) 』 中沢新一 集英社

僕の叔父さん 網野善彦 (集英社新書)作者: 中沢新一出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/11メディア: 新書購入: 5人 クリック: 42回この商品を含むブログ (131件) を見る網野善彦は中沢新一の叔父さんだった.網野善彦の死後,若き日の交流を思い出とともに…

“歴史をみれば明らかだが、つねに新しい世代が思わぬ展開を拓くのである。だから受け継ぐべきは学説でぱなく、精神なのである。” 『職業としての科学 (岩波新書)』 佐藤文隆 岩波書店

職業としての科学 (岩波新書)作者: 佐藤文隆出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/01/21メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (13件) を見る 科学技術政策に,税金の何割が投資されるべきであるか,その資金はどこにどのように使われるべきか…

“人間がやっかいなのは決して社会の腐敗のせいだけではない” 『震える山―クールー、食人、狂牛病』 ロバートクリッツマン, Robert Klitzman, 榎本真理子訳 法政大学出版局

震える山―クールー、食人、狂牛病作者: ロバートクリッツマン,Robert Klitzman,榎本真理子出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2003/11メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 3,505回この商品を含むブログ (5件) を見るちょっと変わった本ともいえる.サ…

“思いがけない言葉のシャワーを浴びて、自分の考えも設計図も変わらざるを得ない。その醍醐味が読者に感染し、読み終えた後に、読者の感性が1ミリくらい変わるんだと思う。” 朝日新聞2011年10月27日 朝刊 P.25 秋の読書特集

朝日新聞2011年10月27日 朝刊 P.25 秋の読書特集は、ノンフィクションである。これは見逃せない。 ノンフィクションの名著を紹介した本としては、何よりも、『現代を読む―100冊のノンフィクション (岩波新書)』(佐高信、岩波新書)が懐かしく、最近では、月…

“科学技術が社会に深く組み込まれるようになった現在,科学が不確実な知識しか生み出せず,しかも価値観が関与し,社会的意思決定が求められるような事例が増えている” 『みんなが選ぶ1冊』 「科学技術と社会の相互作用」 第2回シンポジウム配付資料 (1/4)

『みんなが選ぶ1冊』 「科学技術と社会の相互作用」 第2回シンポジウム(2009年4月25日)配付資料 に掲載されている書物のうち,最初の1/4を紹介.「科学技術と社会の相互作用」という研究プロジェクトは,社会技術研究開発センター(RISTEX)が主催して…

“「粗食のすすめ」は要介護の高齢者を量産するエイジングキャンペーンである” 『介護されたくないなら粗食はやめなさい ピンピンコロリの栄養学 (講談社プラスアルファ新書)』 熊谷修 講談社

介護されたくないなら粗食はやめなさい ピンピンコロリの栄養学 (講談社+α新書)作者: 熊谷修出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/05/20メディア: 新書購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見る How-to もの,といっては失礼かもしれないが…

“フラットな時代だからこそ,時代に即した意見・知識集約の仕組みを考案すべきであろう” 『研究者のベーシック・インカム』 有田正規 (コラム はみだし生命科学 No.8)科学 2011年 10月号 岩波書店

『研究者のベーシック・インカム』 有田正規 (コラム はみだし生命科学 No.8)科学 2011年 10月号 岩波書店科学 2011年 10月号 [雑誌]出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/09/30メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る 東大の生命情報学の研究…

“Try very hard not to be dull. Whatever you do with yourself, do your best to be interesting and to make your life interesting.” 『ビフテキと茶碗蒸し―体験的日米文化比較論』 松山幸雄  暮しの手帖社

ビフテキと茶碗蒸し―体験的日米文化比較論作者: 松山幸雄出版社/メーカー: 暮しの手帖社発売日: 1996/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る座右の書とも言える一冊.松山幸雄氏は1930年生まれで,朝日新聞社のアメリ…

“彼らに必要なのは、反社会性人格障害者に対して行うような矯正教育や激しい罰則ではなくて、コミュニケーションスキルの獲得ということになる” 『知らずに他人を傷つける人たち  (ベスト新書) 』 香山リカ ベストセラーズ

知らずに他人を傷つける人たち (ベスト新書)作者: 香山リカ出版社/メーカー: ベストセラーズ発売日: 2007/02/09メディア: 新書購入: 7人 クリック: 134回この商品を含むブログ (27件) を見る香山リカさんという精神科医はテレビによく登場する.タレント指向…

“人柄の優れた人々に対しては、われわれは誰に対するよりも多くの信を、速やかに置くものなのである” 『「政治家と弁論術」古典でしか世界は読めない』 佐藤優 文藝春秋 2011年11月号

「政治家と弁論術」古典でしか世界は読めない 佐藤優 文藝春秋 2011年 11月号 [雑誌]出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/10/08メディア: 雑誌 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見る「古典でしか世界は読めない」という佐藤優氏の連載.題材,…

“駆けだしの研究者であったころ、自分の研究の意味と価値を世間に説明するのは無用で不純だと思っていた” 『発見術としての学問――モンテーニュ、デカルト、パスカル』 塩川徹也 岩波書店

発見術としての学問――モンテーニュ、デカルト、パスカル作者: 塩川徹也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/07/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 8回この商品を含むブログ (9件) を見る久しぶりに,堅いがっちりとした本と向き合った感がある. 「…

“私たちは、なぜ原発を、「なかったこと」のようにして、議論のアリーナから退場させてしまたのか” 傍観者からの手紙87 「オルレアンのうわさ」,外岡秀俊, みすず 2011年10月号 no.598

傍観者からの手紙87 「オルレアンのうわさ」,外岡秀俊, みすず 2011年10月号 no.598 外岡秀俊氏による連載.氏の『北帰行 (河出文庫―BUNGEI Collection)』が世に出たのが,高校生の頃で,国語の授業などでも使われたから思いで深い.もちろん,氏の朝日…

“問題は、その完璧な会話能力である” 『ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘  (中公新書)』 中島義道 中央公論社

ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書)作者: 中島義道出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1990/01メディア: 新書購入: 4人 クリック: 10回この商品を含むブログ (49件) を見る扉の紹介文から 学士号二つに修士号を一つ得ながら学問への心残り絶ち…

“最低限のお金の辻褄を合わせて、幻のような戯れができればいい” 蓋棺録 辺見じゅん, 文藝春秋 2011年11月号

みすず書房の創立者の一人である,小尾俊人氏の著作に,『昨日と明日の間―編集者のノートから』(小尾俊人,幻戯書房)があるのを知ったが,幻戯書房という出版社をはじめて知り,気になっていた.今月号の文藝春秋の蓋棺録を読んで,辺見じゅん氏が亡くなっ…

“情熱だけではいけない。世におくった本が少しでも生命を長らえるためには、商品としての性格も冷静に見極めなくてはなりません。” 『読者の皆さまへ』 みすず書房編集部長 守田省吾 みすず 2011年10月号 no.598

みすず 2011年10月号 no.598:p.65『読者の皆さまへ』みすず書房創業者の一人である小尾敏夫氏の訃報を伝える小文. 2011年8月15日没.この日は,丸山真男の亡くなった日付,フランクル『夜と霧』初版の発行日でもあるとのこと. 最初に世におくった本は、一…

“人を信ずれば友を得、人を疑へば敵を作る” 『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』 黒岩比佐子 講談社

パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い作者: 黒岩比佐子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/10/08メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 155回この商品を含むブログ (69件) を見る 大作,労作である.おそらく著者の頭の中には,大正から昭和に…

“統計は全体を俯瞰する方法であって、わたしを知る方法ではない” 『百万回の永訣―がん再発日記  (中公文庫)』 柳原和子 中央公論新社

百万回の永訣―がん再発日記 (中公文庫)作者: 柳原和子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (7件) を見るBSアーカイブス ハイビジョン特集「百万回の永訣 柳原和子 がんを生き抜く」…

“文学の責務は良心と道義的な覚醒に向けて、不正に対する憤りと被害者に寄せる共感に裏打ちされた敏感さの拡張に向けて、目覚ましのベルを鳴らす工夫をすることです” 『この時代に想うテロへの眼差し』 スーザンソンタグ, Susan Sontag, 木幡和枝訳 NTT出版

この時代に想うテロへの眼差し作者: スーザンソンタグ,Susan Sontag,木幡和枝出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2002/02メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (21件) を見る9.11のあと,大統領以下国民全体が熱に浮かされている中,…

“家族や夫や子供たちを置き去りにして、世界最高所の死臭漂う遊技場へ飛び込んでいこうだなんて、どうすればそんな決心ができるのだろう” 『K2 非情の頂―5人の女性サミッターの生と死』 ジェニファージョーダン 山と溪谷社

K2 非情の頂―5人の女性サミッターの生と死作者: ジェニファージョーダン出版社/メーカー: 山と溪谷社発売日: 2006/03/01メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (7件) を見る山の本には,ロマンとドラマがある.死と隣り合わせの命がけ道行き…

“今こそ、私たちの来し方を振り返り、戦後の再スタートの土台に据えた精神を思いおこすべきだろう” 『チンチン電車と女学生』 堀川惠子, 小笠原信之  日本評論社

チンチン電車と女学生作者: 堀川惠子,小笠原信之出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2005/07メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (14件) を見る第二次世界大戦前,広島に,「広島電鉄家政女学校」があった.忘れられかけていた幻の女学校を…