昔々あの星に 悧巧な猿が住んでゐた『ノンセンスの磁場―近代詩アンソロジー』 (1980年) 新倉俊一編著 れんが書房新社

- 作者: 新倉俊一
- 出版社/メーカー: れんが書房新社
- 発売日: 1980/10
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「お月様が 囁いた 昔々あの星に 悧巧な猿が住んでゐた」というフレーズは,大きなニュースを聞くたびに頭に浮かぶ.震災後の原発騒動の中で読み返した次第.
灰が降る 三好達治
灰が降る灰が降る
成層圏から灰が降る灰が降る灰が降る
世界一列灰が降る北極熊もペンギンも
椰子も菫も鶯も知らぬが仏でゐるうちに
世界一列店だてだ一つの胡桃をわけあって
彼らが何をするだろう死の総計の灰をまく
とんだ花咲爺さんだ螢いつぴき飛ぶでなく
いつそさつぱりするだろか学校というふ学校が
それから休みになるだろう銀行の窓こじあける
ギャングもゐなくなるだろうそれから六千五百年
地球はぐつすり寝るだろうそれから六万五千年
それでも地球は寝てるだろう小さな胡桃をとりあつて
彼らが何をしただろうお月様が
囁いた昔々あの星に
悧巧な猿がすんでゐた
【関連ブログ】『核がなくならない7つの理由 (新潮新書)』 春原剛 新潮社
【読んだきっかけ】30年前のことで覚えていない.当時は,奥付に著者の現住所が印刷されているのですね.平和な時代でした.新倉俊一氏は,西脇順三郎の評伝や研究書を書かれていることを,後年しりました.
【一緒に手に取る本】

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