みんなが自分の本当の仕事を持っているのだ. 『瀕死の双六問屋 (小学館文庫) 』 忌野清志郎 小学館

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今は亡き忌野清志郎の一品.第一話「問屋からきた男」の冒頭の文章だけをぜひ引いておきたい.
双六問屋に行ったことがあるかい?そこはみごとな世界だった.双六問屋の世界では履歴書などいらない.学歴や職歴を誰に告げる必要もないのだ.タレントが画廊で個展をひらいたりしないし,歌の下手な者がCDを出したりもしない.退屈な夜をうすっぺらい笑いや,ブスい女の裸でうめようともしない.そんな必要はないからだ.みんなが自分の本当の仕事を持っているのだ.だから当然流行に流されて右往左往している者もいない.若者は目上の人々に敬意をいだき,年長者は何が本当に大切なものかよくわかっている.双六問屋は理想郷であった.だが今は遠い.俺ははるか遠い旅をぶっとばしてきたのさ.だからすぐには君と話しがかみ合わなくても仕方がない.理解不能なことを俺が言い出したとしても,まあ大目にみてもらいたいもんだな.
福島原子力発電所の事故は,未だ先行き不明である.
原子力発電の潜在的危険性をはっきりと言い続けてきた人はそう多くない.
原子力発電に批判的であったつかこうへいが亡くなった年にこういうことが起き,原子力発電を批判して東芝(EMI)と喧嘩していた忌野清志郎の三回忌を記念したロックン・ロール・ショーのチケット発売日の前日にこうしたことが起こるなんて皮肉なものである.
【関連ブログ】
『つか版 誰がために鐘は鳴る』 つかこうへい 主婦と生活社
昔々あの星に 悧巧な猿が住んでゐた『ノンセンスの磁場―近代詩アンソロジー』 (1980年) 新倉俊一編著 れんが書房新社
【読んだきっかけ】忌野清志郎が亡くなって知った本.
【一緒に手に取る本】

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