“「粗食のすすめ」は要介護の高齢者を量産するエイジングキャンペーンである” 『介護されたくないなら粗食はやめなさい ピンピンコロリの栄養学 (講談社プラスアルファ新書)』 熊谷修 講談社

介護されたくないなら粗食はやめなさい ピンピンコロリの栄養学 (講談社+α新書)
- 作者: 熊谷修
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/05/20
- メディア: 新書
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一方,読み手の側には,数ある How-to 書の中から,信頼のおける情報を取捨選択できる知識と能力それに加えて,ある種の嗅覚のようなものが求められる.
著者である,熊谷修(くまがいしゅう)氏については,お名前も初めてでまったく予備知識を持たない.それでも,本書を手にとって見ようと思ったのは,
- 東京都老人総合研究所での長い研究歴をもつこと
- 薬の治験に相当する「介入研究」の経験から得られた結果であること.疫学調査と言ってもいいのかもれない
- グラフを用いた科学的,論理的解説がなされていること
- 何がどうしていけないのか,何をすればよいのか,といったメッセージが簡明に整理されていること
- 特定の食品や薬品を推奨していないこと
などからである.
よく言われる常識と異なる重要な点をまとめれば,
- 中年のメタボ対策と,高齢者(や閉経後の女性)の栄養対策はまったく異なる
- 粗食は長寿の結果であって,要介護を量産する
- 重要な栄養指標は血清アルブミン.タンパクも油脂も摂るべし
著者は,
「粗食のすすめ」は要介護の高齢者を量産するエイジングキャンペーンである
と言い切る.
帯から
50歳以降は肉や卵や油脂を積極的に摂ろう
指標は血清アルブミン。毎日10食品群のチェックだけで、ぼけと寝たきりが予防できる!
裏帯から
「メタボ対策」を実践さえすれば、あたかも「健康長寿の実現」が保障されるかのような認識を持つ方々が数多くおられる。「それは錯覚」と断言しよう。(中略)筆者は、東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター研究所)で、長年にわたり都の健康施策を構築する研究に取り組んできた。(中略)それらの研究成果を概括すると、「病気を標的にした健康づくり」から「老化の遅延」へと軸足を移すことがせまられている。本書は、「要介護」に陥ることなく経済的にも安定した人生後半を過ごすためには、いったいどのような健康づくりの手立てを実践すればいいのか、最大の関心事である「栄養問題」を中心に、最新の科学データにもとづき紹介するものである。
老化を遅らせるための10か条.50歳くらいからの実践を推奨している.
- 欠食は絶対に避ける
- 動物性タンパク質を十分に摂取する
- 魚と肉の摂取は1対1程度の割合にする
- 油脂類の摂取が不足しないよう注意する
- 牛乳を200ミリリットル程度飲む
- 食材の調理法や保存法をよく知る
- 調味料を上手に使い、おいしく食べる
- 自分で食品を購入して、食事を準備する
- 会食の機会を積極的につくる
- 余暇活動を取り入れた運動習慣を身につける
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