“運命とは、人生の中での出会いのことである。出会った人との関係は一生続き、出会ったものごとの影響は、死ぬまで残る” 『運命を生きる――闘病が開けた人生の扉 (岩波ブックレット) 』 浅野史郎 岩波書店
- 作者: 浅野史郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2012/05/10
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P.7
運命とは、人生の中での出会いのことである。人との出会いだけでなく、ものごとの出会いもある。そして、その出会いは、その後の人生を決める。そこまで言わずとも、出会った人との関係は一生続き、出会ったものごとの影響は、死ぬまで残る。
北海道庁の障害福祉担当課長を務める中で,重い障害を持った人たちの人生の意義を考えるようになる.
P.16
後になって「可能性の哲学の実践」という言葉を見つけたが、障害福祉の仕事は、その「可能性の哲学の実践」のお手伝いをすることであることにも気がついた。別な言い方では、どんなに重い障害を持っていても、その人たちが生きていてよかったと思えるような生活ができるようにすることが障害福祉の目的だと思い定めた。
P.19 厚生省障害福祉課長就任時の訓示(抜粋)
- 仕事は時間でなく中味で勝負
- 儀礼的な挨拶は手を抜いても良い.本来の課題に集中すべし
- 情報や事態はガラス張りに
- 情報を集めよ.現場を見よ.現場の人と語れ.
- 大会,シンポジウム,研究会にはできるだけ参加せよ
- 親や団体としっかりつきあえ
- 思想を言語化せよ.自分の考えを文章かする努力をせよ
P.62
「障害者」を表す言葉として,Challenged の用語法はアメリカでは一般的ではなく、むしろ避けたほうがいい用語とされているらしい。そうだとしても、これを日本だけでの使い方として採用するのは許されないだろうか。なぜなら、この用語が、「不運」と思われる人に勇気を与えるから。その一人が私である。
P.75 ATLについて
- 原因ウイルスHTLV-1を分離したのは,1981年日沼頼夫京大教授による
- ヒトのレトロウイルスとして発見された最初のもの
- エイズ治療薬AZTの開発にあたっては、HTLZ-1が関与して作られた「テスト細胞」の存在が不可欠であった.
- MT-1と呼ばれるテスト細胞の培養法を育てたのは,三好勇夫高知医科大学教授
ATLの研究成果がなければ、エイズの発症機序は明らかにならず、治療薬も発見できなかった。日本人学者によるATL研究がエイズ治療薬につながった。
本書は,「私の行き当たりばったりの人生(LIFE)」と題した講演をもとにしていると言う.その講演の時に流したのが,竹内まりやの「人生の扉」.
And they say that life has no meaning
But I still believe it's worth living
【関連読書日誌】
- (URL)“われわれがなすべきことは,… 贈られたものや不完全な存在者としての人間の限界に対してよりいっそう包容力のある社会体制・政治体制を創り出せるよう,最大限に努力することなのである.” 『完全な人間を目指さなくてもよい理由 遺伝子操作とエンハンスメントの倫理』 マイケル・J・サンデル ナカニシヤ出版
- (URL)“治癒しなくても,障害があっても生きていける社会を” 『東京へ この国へ リハの風を!―初台リハビリテーション病院からの発信』 土本亜理子 シービーアール
【読んだきっかけ】
「図書」の広告で見て
【一緒に手に取る本】
誰のための福祉か―走りながら考えた (同時代ライブラリー (265))
- 作者: 浅野史郎
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