“本が出たあと、事件は起こる” 『あとがきのあとで』 最相葉月 図書 2012年 09月号 岩波書店
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『本は、これから (岩波新書) 』のなかの『永遠の時を刻む生きた証』や,『災害がほんとうに襲った時』がすぐに思い浮かぶ.
次の書き出しの一行など,うまい!とうなってしまう.
本が出たあと、事件は起こる。思いがけない事実や新たな証拠が発見される。本の中身をくつがえすわけではないものの、状況が変わってしまうこともある。限られた時間を切り取って特定の事象や人物を描くノンフィクションでは、やむを得ないことであろう。
最相氏が書いているのは『東京大学応援部物語』(2003年刊)にまつわる物語.この本は知らなかった.応援部という独特の世界,それも東京大学を取り上げているところが,目の付けどころの良さだが,いわゆる体育会系の独特な団結意識と肉体の酷使が要求される世界.高校まで優等生できたはずのエリートがなぜそのような世界に足を踏み入れるのか,なるほど,これは物語るに値するものがあるだろうと思う.
韓国の激烈な競争を勝ち抜いてソウル大を蹴って東大に入学したK君は,なんと,応援部にはいる.そのK君が,取材後に行方不明になるところから,「あとがきのあと」が始まる.K君の父親とK君のこと,K君と応援部S主将のこと,その後のK君のその後のこと,それだけで映画の脚本になるようなちょっと感動的な物語であった.
【関連読書日誌】
- (URL)“これからの本が「どうなる」ではなく,「どうする」という意思がなければ,本の世界は何も変わらないだろう.”『本は、これから (岩波新書) 』 池澤夏樹編 岩波書店
- (URL)“やはり人間は燃え尽きないために、どこかで正当に認知acknowledgeされ評価されappreciateされる必要があるのだ” 『災害がほんとうに襲った時――阪神淡路大震災50日間の記録』 中井久夫 みすず書房
【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】

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