“利用者の人生を知ることで、介護する側が変わる。たとえ徘徊などの“問題行動”があっても、それまでの人生でどんな苦労をしてきた人なのかを知れば、上から見下す目線にはなりえない” 『介護の庭に眠っていた民俗学 現代の肖像:民俗研究者 六車由美』 横田増生
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大学の教員を辞めて飛び込んだ介護の世界は、大学でのフィールドワークよりも「宝」にあふれでいた。介護職員として働き、時に在野の研究者にF変身dし、高齢者の遠い日の記憶を丹念に聞き書きする。そんな「語りの森」を自ら切り開いてたどり着いた「介護民俗学」。そのフィールドは、深遠の庭だった。
息苦しかったアカデミズム
関東大震災の話で得た確信
変わるのは介護する側
聞き書きがもたらした乳磯
六車が聞き書きをはじめた背景には、研究者としての探究心に加え、現場で感じる「いたたまれなさ」を払拭できないか、という思いがあった。
(略)
利用者の人生を知ることで、介護する側が変わる。たとえ徘徊などの“問題行動”があっても、それまでの人生でどんな苦労をしてきた人なのかを知れば、上から見下す目線にはなりえない。
介護の世界で育てたい人材
自分が自分でいられる場所
六車はこう言う。
「人は自分の死がそう遠くないと感じるようになったとき、自分の人生を語りたくなるんだろうな、
って思っているんです。だから私の目標の一つは、私が自分のことを語りたくなった時に、話を聞い
てくれる人を介護の世界に育てることなんです」
話を聞くことが生きる支え
「死ぬまで生きていく」
六車の言葉で印象に残ったのは、「どんな人も死ぬまで生きていく」という諦観にも似た言葉だ。
「私を含めて人はつらいことや死にたいことがあっても、死ぬまで生き続けるんです。その当たり前のことにようやく気づきました」
【関連読書日誌】
- (URL)“私が介護の原則は「説得より納得」ということに気がつき、母の希望にそった、母中心の介護に変えたとたん、母はみるみる回復した。母の痴呆は介護に対する不満、私に対する最大の抗議だった” 『母 老いに負けなかった人生 (岩波現代文庫)』 高野悦子 岩波書店
- (URL)“治癒しなくても,障害があっても生きていける社会を” 『東京へ この国へ リハの風を!―初台リハビリテーション病院からの発信』 土本亜理子 シービーアール
【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】
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