“しかし、この星(地球)の美しさに誘われ、宇宙人がやつてくることが頷ける思いがした。  どうやって、この星が誕生したかということより、この星に自分が生を受けたことにひどく感激した旅であつた” 『ねむりねこ (講談社文庫) 』 伊集院静 講談社

ねむりねこ (講談社文庫)

ねむりねこ (講談社文庫)

へんな巡りあわせ,偶然というのはあるものだ.テレビドラマ「いねむり先生」に誘われて,地元の図書館分館にあった,伊集院静のエッセーを借りてきた.2003年初版の単行本である.
 「空を駆ける人 ケニア」という章に記されたエピソード.「世界観が変わる」という先輩デザイナーのすすめでケニアを訪れた話である.サイモン・ジョージ・ムパタというケニアの画家が,筆者の友人の編集者と意気投合し,ムパタ サファリ クラブというリゾートホテルをつくる.この編集者は,小黒一三(おぐろ かずみ、1950年 - )で名物編集者らしい.
 で,ケニアへ行ってみたいな,と思っていたところ,今週号の週刊文春(2013年10月3日号)の林真理子の連載「夜ふけのなわとび」で,「ムパタとその中間たち展」の招待状が届いた,という話が載っていた.
西武渋谷店■2013年9月18日(水)〜10月7日(月)■A館7階=催事場
小黒一三は,マガジンハウス社の有名編集者であったらしい.

 私はただただ驚ろいて、目の前にくりひろげられる光景に見惚れていた。
 人類は、いつか地球を脱出しようとして、宇宙開発をしてきた。しかし、この星(地球)の美しさに誘われ、宇宙人がやつてくることが頷ける思いがした。
 どうやって、この星が誕生したかということより、この星に自分が生を受けたことにひどく感激した旅であつた。

P.28 途方に暮れている

少しかたい話を書きます。
 先日、友人の息子さんに、
「どうして人間は戦争をするの?」
と質問をされました。

で始まる一章.

 こう話した後、どうもちやんと話せていないことに気付いた。
 ここしばらくなぜ人間が戦争をするかということを考えた。戦争がいかに愚かで、悲惨なものかは、ヨーロッバへ旅するなら、ナチス強制収容所跡を見学すればわかるし、曰本なら広島、長崎の原爆記念館を見に行けば一目瞭然である。ジャーナリストたちが、報道カメラマンが、自分たちの身の危険をおかしても戦争の本当の姿を報道しようとするのは、戦争がいかに馬鹿げて、叫び声を上げたくなるものかを伝えたいからである。その愚かな戦争をほんの六十数年前に日本がはじめたことも事実なら、今年、アメリカでの戦争報道で原爆被災の一部の写真を、悲惨すぎると国連が展示を拒否したことも事実だ。それ以上に、今日もパレスチナでは人が日常のごとく殺されている。私の中に、その報道を他
人事のように見ている部分がある。私は愚かだが、あの中学生の明日に、どう責任を持つて戦争の話をすればいいのか。正直、途方に暮れている。

【関連読書日誌】

  • (URL)“人生は哀しみとともに歩むものだが、決して悲嘆するようなことばかりではない” “ ただ私は一冊の、一行の言葉が、人間に何かを与え、時によっては、その人を救済することがあると信じている” 『なぎさホテル』 伊集院静 小学館

【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】

SOTOKOTO (ソトコト) 2003年 06月号

SOTOKOTO (ソトコト) 2003年 06月号