“彼らは勤勉に働くことで 紋切り型の黒人像を変えた 高いモラルと威厳ある振る舞いによって 人種間の壁を崩していった 執事やメイドは隷属的と言われるが 彼らは戦士なのだ” 『大統領の執事の涙』 ウィルヘイグッド, Wil Haygood, 中村佐千江訳 原書房

大統領の執事の涙

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DVDで映画,『大統領の執事の涙』(Lee Daniels' The Butler)を見る.
wikipedia によれば

リー・ダニエルズ監督、ダニー・ストロング(英語版)脚本、アンサンブルキャストによる2013年のアメリカ合衆国の歴史ドラマ映画(英語版)である。ユージン・アレン(英語版)の実生活に触発を受けた内容となっており、フォレスト・ウィテカー演じるアフリカ系アメリカ人のホワイトハウスバトラー(執事)のセシル・ゲインズの視点で彼の34年の任期中に起こった20世紀の事件が描かれる。2011年に亡くなったローラ・ジスキンが最後にプロデュースした作品である。(大統領の執事の涙, http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E3%81%AE%E5%9F%B7%E4%BA%8B%E3%81%AE%E6%B6%99&oldid=52602471 (last visited Oct. 2, 2014). )

アメリカはいまだ人種差別に苦しむ国である.そしてこれからもそうであろう.高々50年前,黒人差別がまだあたりまえの状況であったことを,あらためて思いだした.この映画によれば,ケネディ大統領も,大統領就任後に人種差別問題に目覚めたようだ.『チョコレート』(Monster's Ball)で,ハル・ベリーが黒人初のアカデミー主演女優賞をとったときのスピーチ,マイルス・デイビス石岡瑛子に語った人種差別のことを思いださせる.
 アカデミー賞候補にさえならなかった本作であるが,映画としてのフィクションと,リアルなニュース映像の対比,大統領執事としての主人公,公民権運動に走る長男,ベトナムに行く次男との対比,
 本篇の中に,主人公の息子ルイスが公民権運動の活動の中で,キング牧師との会話が出てくる.
1:16:10 あたり

キング牧師:執事は立派な仕事です
ルイス:皮肉ですか
キング牧師
彼らは勤勉に働くことで
紋切り型の黒人像を変えた
高いモラルと威厳ある振る舞いによって
人種間の壁を崩していった
執事やメイドは隷属的と言われるが
彼らは戦士なのだ
自覚なしに

http://www.moviequotesandmore.com/the-butler-quotes.html によれば,原文は,

Martin Luther King Jr.: Well why do your parents support it?
Louis Gaines: We haven't spoken about it specifically, I just know they do.
Martin Luther King Jr.: Well, what do your Daddy do?
Louis Gaines: He's a butler.
Martin Luther King Jr.: The black domestic play an important role in our history.
Louis Gaines: I didn't tell you that to make fun of me.
Martin Luther King Jr.: Young brother, the black domestic defy racial stereotype about being hard working and trustworthy.
[we see as Cecil and James serving Johnson and his wife dinner at the White House]
Martin Luther King Jr.: It slowly tares down racial hatred because it's an example of a strong work ethic and dignified character. Now while we perceive the butler to be mainly subservient, in many ways they are subversive, without even knowing it.

【関連読書日誌】

  • (URL)“瞬発力と集中力と持続力を身につけて、知性と品性と感性を磨く。磨いて、磨いて、磨きつづける。あるとき、ふっと深い霧が晴れるように、何かが少しだけ見えてくる” 『私 デザイン』 石岡瑛子 講談社
  • (URL) ”アーレントは戦時中の体験から、「世界は沈黙し続けたのではなく、何もしなかった」と考えていた。大量殺戮が始まる以前の一九三八年の「水晶の夜」にたいする各国の言論上の非難は、難民の入国制限を進めるといぅ行政的措置と矛盾していた” 『ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 」』  (中公新書) 矢野久美子  中央公論新社 (2/3)

【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】

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