私の読書2014年のベスト10冊(その2)

2014年私にとっての10冊(おまけ2冊)は以下です。順不同です。

  1. :『コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書) 』 平田オリザ 講談社
  2. :『教誨師』 堀川惠子 講談社
  3. :『セラピスト』 最相葉月 新潮社
  4. :『 たとへば君 四十年の恋歌 (文春文庫)』 河野裕子, 永田和宏 文藝春秋
  5. :『秘密』 (上・下) ケイト・モートン 訳:青木純子 東京創元社
  6. :『殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』 清水潔 新潮社
  7. :『有次と庖丁』 江弘毅 新潮社
  8. :『世界の技術を支配する ベル研究所の興亡』 ジョン・ガートナー 文藝春秋
  9. :『イベリコ豚を買いに』 野地秩嘉 小学館
  10. :『天、共に在り』 中村哲 NHK出版
  11. :『愛と暴力の戦後とその後』(現代新書) 赤坂真理 講談社
  12. :『日本は再生可能エネルギー大国になりうるか』 北澤宏一 ディスカヴァー・トゥエンティワン

後半の5冊ついて
(1)

新聞の調査報道が昔に比べ力を落としている昨今、この人のような在野の記者の活動がこれからも重要だと思います。同じ著者のものも深く考えさせられました。『桶川ストーカー殺人事件』とはこういうことだったのか。しかし、こういう不幸な事件に巻き込まれてしまうのは、「運」に委ねるしかないのか?

  • (URL)物は何も語りはしない。  しかし雄弁にもできる。真実を語らすことも、嘘に利用することも。” 『桶川ストーカー殺人事件―遺言』  (新潮文庫) 清水潔 新潮社
  • (URL)「一番小さな声を聞け」というルールに従うなら、この場合、被害者遺族がそれだ。手紙を書き、末尾に自分の携帯の番号を書き入れてポストに入れた。私は手紙ばかり書いている” 『殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』 清水潔 新潮社

(2)

有次と庖丁

有次と庖丁

有次と庖丁

有次と庖丁

新潮社の季刊誌「考える人」、PR誌「波」の連載などを単行本化したもの。端正な仕上がりの美しい本。 堺の鍛冶屋、京都の料理人についても知ることができます。ちなみに、昨秋、京都錦の有次で、研ぎ教室を受けてきました。

  • (URL)道具は消費财ではないのだ。だから飽きるということと無縁だ。毎日使う庖丁を,自分で手入れすることはかけがえのない実生活に差し向かうということでもある” 『有次と庖丁』 江弘毅 新潮社
  • (URL)それも全部、自分たちが飲み込みながら次にバトンを渡さなければいけない。そのときに“ノー”と言う姿勢で何かを渡せるかというと、何も渡せないんです” 『有次と包丁』 第10回 江弘毅 波 2013年 09月号 新潮社

(3)

世界の技術を支配する ベル研究所の興亡

世界の技術を支配する ベル研究所の興亡

電電公社、電気通信研究所(ECL)のかつてのお手本であり、多くのノーベル賞受賞者を輩出しながら、なくなってしまった研究所の、管理運営の歴史。時代の必然であったか、運営に問題があったのか。

  • [http://d.hatena.ne.jp/ctenophore/20140203/1391446032:title=(URL)] “のちにサイエンティフィック・アメリカン誌が「情報時代のマグナカルタ」と呼んだこの論文『通信の数学的理論』は、特定の事柄というより、一般法則や共通概念に関するものだった。「シャノンは常に深奥で本質的な関係性を求めていた」” 『世界の技術を支配する ベル研究所の興亡』 ジョン・ガートナー 訳: 土方奈美 文藝春秋
  • (URL) のちにサイエンティフィック・アメリカン誌が「情報時代のマグナカルタ」と呼んだこの論文『通信の数学的理論』は、特定の事柄というより、一般法則や共通概念に関するものだった。「シャノンは常に深奥で本質的な関係性を求めていた」” 『世界の技術を支配する ベル研究所の興亡』
  • (URL)ベル研究所の歴史を振り返ると、現実はそれほど単純なものではないことがわかる。またそこからは、われわれが市場の価値を過大評価しがちであることが読み取れる” 『世界の技術を支配する ベル研究所の興亡』

(4)

イベリコ豚を買いに

イベリコ豚を買いに

野地さんの書いたものも好きで、ほとんど読んでいます。 伊勢丹で、100g 8000円くらいのベジョータ ハモン
セラーノ(ハムです)を10g(!)くらい買って、家内と食べてみました。 『飼い喰い――三匹の豚とわたし』内澤 旬子とセットで読むと面白いかも知れません

  • (URL)人は何の経験がなくとも、バカになつて突つ込んでいけば、誰か助ける人が出てきてくれる” 『イベリコ豚を買いに』 野地秩嘉 小学館
  • (URL) なぜ私は自ら豚を飼い、屠畜し、食べるに至ったか” 『飼い喰い――三匹の豚とわたし』 内澤旬子 岩波書店
  • (URL) 文学は、ある意味では勝利者の手によってつくられてゆく歴史への反逆である” 『マラーノの系譜  (みすずライブラリー) 』 小岸昭 みすず書房

(5) 

天、共に在り

天、共に在り

テロで世情騒がしい中、もくもくと井戸を掘り続ける、中村さんに経緯を表して。

  • (URL)人も自然の一部である。それは人問内部にもあって生命の営みを律する厳然たる摂理であり、恵みである。科学や経済、医学や農業、あらゆる人の営みが、自然と人、人と人の和解を探る以外、我々が生き延びる道はないであろう” 『天、共に在り』 中村哲 NHK出版