“我が国においてエロスの問題、つまり色恋沙汰は、詩的関心事ではあっても、長らく宗教的な関心事ではなかった” 『神奈川芸術劇場 「杉本文楽 曾根崎心中」 上演台本+解説』 杉本博司,近松門左衛門,神津武男 公益財団法人小田原文化財団発行
現代美術作家,杉本博司の構成・演出・美術・映像による文楽の舞台を観た(2011年8月16日昼の部).
もともと3月に予定されていたものが震災で中止となっていたものである.
演題は
杉本文楽 木偶坊 入情
曾根崎心中
付り観音廻りすぎもとぶんらく でくのぼう いりなさけ
そねざきしんじゅう つけたりかんのんめぐり
新鮮な感動とともに文楽を観る.
プロローグの鶴澤清治の三味線が素晴らしかった.
豊竹嶋大夫,鶴澤清治,吉田簑助,桐竹勘十郎と,二人の人間国宝を含む役者がそろう.
公演の詳細はこちら.
9月25日に,ETV特集「杉本文楽」(タイトル仮称)をNHKで放映するらしい.
2008年に富山県黒部で発見された初版完全本(通称:黒部本)を原典として使用.
曾根崎心中は,享保8年(1723)に上演禁止となり復曲されたのは1955年という.
なぜ上演禁止とされたか.
我が国においてエロスの問題、つまり色恋沙汰は、詩的関心事ではあっても、長らく宗教的な関心事ではなかった。しかし恋を心中によって成就させることによって、二人の魂が浄土へと導かれるという革命的な解釈が、はじめて近松門左衛門によって披露されたのが、この人形浄瑠璃『曾根崎心中』である。
杉本博司さんという美術家はしりませんでしたが,並べてあった著書をみながら,NHKBSで放映中の「たけしアートビート」という番組で紹介されていた写真家だと気がつきました.5月11日放送の第五回「常識を破壊する現代美術家 杉本博司(63)です.
会場に向かう電車の中で,【『死の海を泳いで―スーザン・ソンタグ最期の日々』 デイヴィッドリーフ, David Rieff, 上岡伸雄訳 岩波書店】を読んでいたのですが,会場で買った,杉本博司の著書【『現な像』 杉本博司 新潮社】の中にソンダクと会った話がでてきました.最新刊の著書では,西村伊作に触れているらしい.
【関連読書日誌】
[http://d.hatena.ne.jp/ctenophore/20110409/1302374694:title=[映画・演劇][文学・文学史]“恋が言わせる付けことば” 『赤川次郎の文楽入門―人形は口ほどにものを言い』 赤川次郎 小学館文庫]
“ブルジョアの排撃,つまり、全体主義の時代風潮とは、そのようなかたちで、大衆の側からの「平等」への願いを含んでいる” 『きれいな風貌―西村伊作伝』 黒川創 新潮社
【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】
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