2012-01-01から1年間の記事一覧

“世の中は驚くほど複雑だ。そして、世の中を構成している人間はさらに複雑である。身近な他者ところか、自分自身の心だって簡単には把握できない。” 『 秋葉原事件―加藤智大の軌跡』 中島岳志 朝日新聞出版

秋葉原事件―加藤智大の軌跡作者: 中島岳志出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2011/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 74回この商品を含むブログ (23件) を見る2008年6月8に起きた,秋葉原無差別殺傷事件(7人死亡、10人負傷)を扱った本. 『中村屋…

“昨今の若い人は、自分に関係のないことには、ほとんど関心を持ちません。従って、一つ一つの問題に関して、自分なりの判断,感想を披瀝するということも、ほとんどありません” 藤川桂介 ドラマ 2012年 10月号   映人社

ドラマ 2012年 10月号 [雑誌]出版社/メーカー: 映人社発売日: 2012/09/18メディア: 雑誌 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る脚本の月刊誌と銘打つ,「ドラマ」という雑誌がある.たまたま書店で見かけて買ったのだが,本誌通巻400号とか.記念…

“一見して不屈だと思われるこの人も、われわれと同じ不安にさいなまれることを知って、われわれの尊敬の念は薄れるどころか、いっそう強まった” 『 マイ・アメリカン・ジャーニー“コリン・パウエル自伝”―ワシントン時代編 (角川文庫)』 コリン・L.パウエル, ジョゼフ・E.パーシコ, , 鈴木主税訳 角川書店

マイ・アメリカン・ジャーニー“コリン・パウエル自伝”―ワシントン時代編 (角川文庫)作者: コリン・L.パウエル,ジョゼフ・E.パーシコ,Colin L. Powell,Joseph E. Persico,鈴木主税出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2001/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック:…

“こうした公界に生きる人たちは、あらゆる分野と階層のなかで、表面的には武家政権に逆らうことなく平和に活動しながら、禁裏御用を務める自由民であったのだ” 『口伝解禁 近松門左衛門の真実』 近松洋男 中央公論新社

口伝解禁 近松門左衛門の真実作者: 近松洋男出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2003/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログを見る帯びに「三百年の禁を破って,九代目が明かす,近松家の謎」と,やや扇動的な文言があって,ち…

“料理を長続きさせる最大のコツは、誰のためでもない、自分のカラダを作っている、自分のためにがんばっている、と意識することです” 『一人暮らしこそ自分のための料理を』 行正り香のひとりごはん生活 23 週刊朝日 2012年9月21日号

週刊朝日 2012年9月21日号作者: 週刊朝日発売日: 2012メディア: 雑誌 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る「今週のお供」という欄があって,毎週,調理器具やら何やらのお薦めが紹介されている.これに毎週付き合っているとどんどんもの…

“そのような「共通の思いや解釈の断片」を収集するうえで著者が重要な出発点としているのは、音楽を安直に「精神的抵抗」のシンボルへと神話化しない、という態度である” 『「精神的抵抗」という神話から音楽を救い出す』 細身和之 パブリッシャーズ・レビュー 2012年9月15日 第8号

ホロコーストの音楽―― ゲットーと収容所の生作者: シルリ・ギルバート,二階宗人出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/09/11メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見るパブリッシャーズ・レビュー(Publisher's Review)というの…

“文化政策はある価値の選別と多様な価値の共存とを両立させねばならないという点において根本的に両義的だが、そう考えると直接振興という表現は適切ではなく、そもそも文化政策は表現の自由とその多様性を保証するための手段とさえいえるのだ” 『グラスツールと文化政策』 吉澤弥生 現代思想 2012年5月号 特集=大阪 青土社

現代思想2012年5月号 特集=大阪作者: 酒井隆史,中沢新一,井上理津子,モブ・ノリオ,木村政雄,千葉雅也,磯崎新出版社/メーカー: 青土社発売日: 2012/04/27メディア: ムック クリック: 22回この商品を含むブログ (10件) を見る橋下現大阪市長が,文化事業に対す…

“なぜそのような複雑さを帯び、なぜわかりづらいのかを知ることによって、「そういうものなのだ」という、おそらく江戸期の庶民が皆抱いていたであろう納得は、我々の中にも深く落ちていく” 『浄瑠璃、大阪、新地の女』 私の読書日記 酒井順子 週刊文春 2012年9月20日号

週刊文春 2012年9月20日号発売日: 2012メディア: ? クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る この私の読書日記は,酒井順子,鹿島茂,立花隆,池澤夏樹,山崎努による連載である.格好の人を得て,毎週楽しみにしているのだが,特に,酒井順子の会は…

“よくできたかどうか分からないけれど、かあさん、ぼくはひとリの人間になった。行って、そして生きてきた。あなたに祝福がありますように” 『約束の旅路 (集英社文庫) 』 ラデュ・ミヘイレアニュ, アラン・デュグラン, 小梁吉章訳 集英社

約束の旅路 (集英社文庫)作者: ラデュミヘイレアニュ,アランデュグラン,Radu Mihaileanu,Alain Dugrand,小梁吉章出版社/メーカー: 集英社発売日: 2007/02メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る古く東欧に流れたアシュケナージ,149…

“この話を聞いて、国際標準の獲得とは別に、中国独自の国家標準を策定しようとしている事実に驚きを感じた” 『「電池」で負ければ日本は終わる』 岸宣仁 早川書房

「電池」で負ければ日本は終わる作者: 岸宣仁出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2012/06/22メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログを見る日本のもの作り力と国際競争力の低下が叫ばれる中,国内産業の将来を考える上で,是非とも読ん…

“商業演劇と小劇場を行き来しようとして批判される理由もわからなかった。人とは少し違う場所から“演劇”を見通していただけなのに” 『蜷川幸雄 人生に乾杯 26』 中村千晶 週刊朝日 2012年9月21日号

週刊朝日 2012年9月21日号作者: 週刊朝日発売日: 2012メディア: 雑誌 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る週刊朝日のインタビューシリーズ,今回は蜷川幸雄.蜷川の名前を知ったのは,英国で好評を博して,まさに世界の蜷川になった頃,1…

“日本の国民にはわからないけれど、北朝鮮、韓国、中園、ロシアとは本当に仲良くしておかなければ、将来日本の国は危ない” 『聞き書 野中広務回顧録』 御厨貴, 牧原出 岩波書店

聞き書 野中広務回顧録作者: 御厨貴,牧原出出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/06/29メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (1件) を見る抜群に面白い.一人の政治家の思いが,時代の流れに沿って,回想という形で語られる.聞き手,とい…

“本が出たあと、事件は起こる” 『あとがきのあとで』 最相葉月 図書 2012年 09月号  岩波書店

図書 2012年 09月号 [雑誌]出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/08/30メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る最相葉月は,こうした小文が実に上手い.もちろん立派な著作もたくさんだしている.こうしたちょっとした文章は,著作集でも出ない限…

“ともすると社会性を欠くと思われがちな若沖のキヤラクターですが、還暦を前に錦市場の存亡をかけて懸命に立ち働いたことなどが近年の研究で判明しています” 『伊藤若沖×素麺』 林綾野のべべたくなるモナリザ AERA 2012年8月27日

AERA(アエラ) 2012年8月20日号表紙:チャン・グンソク作者: AERA出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2012メディア: 雑誌 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見るAERA巻末の連載,『林綾野の 食べたくなるモナリザ』に最近気がつい…

“人情(のはずの)大阪と、冷たくすました(はずの)東京が逆転し、今や、東京のほうがいわゆる「大阪的」、大阪のほうがいわゆる「東京的」になっているのではないか” 『“へんにし”している大阪人』 井上理津子 現代思想2012年5月号 特集=大阪 青土社

現代思想2012年5月号 特集=大阪作者: 酒井隆史,中沢新一,井上理津子,モブ・ノリオ,木村政雄,千葉雅也,磯崎新出版社/メーカー: 青土社発売日: 2012/04/27メディア: ムック クリック: 22回この商品を含むブログ (10件) を見る「大阪」が特集,という理由で,久…

“自己反省を持つ人にあっては「知ることは超えることである」ということを信じたい。そして、ふたたびかかる悲劇への道を、我々の日常の政治的決意の表現によって、閉ざさねばならないと思う” 『夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録』 V.E.フランクル, 霜山徳爾訳 みすず書房

夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録作者: V.E.フランクル,霜山徳爾出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1985/01/22メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 101回この商品を含むブログ (121件) を見るこの旧訳(霜山訳)は高校時代に読んだのだが,先日新訳(…

“We think brains are important, because that is our speciality. It is salutary to reflect that there are plenty of other ways of making a living” 『Lower Animals (World University Library)』 Martin John Wells、 Littlehampton Book Services Ltd

Lower Animals (World University Library)作者: Martin John Wells出版社/メーカー: Littlehampton Book Services Ltd発売日: 1968/09メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (2件) を見る 1968年刊である.タイトルは,『Lower Animals』で,訳せば…

“異なった系統の異なった進化を遂げた「眼」も高い類似性や相似性を有する” 『The eyes』 堀内二彦 創英社/三省堂書店

The eyes作者: 堀内二彦出版社/メーカー: 創英社/三省堂書店発売日: 2012/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る新宿小田急の三省堂書店で,こんな面白い本を発見.それも専門書コーナーではなく,新刊書のコーナー付近の目立つところにあっ…

“沖縄返還によって、日本全体の基地が、東アジアにおける安全保障上のおおきな役割を、アメリカから担わされたのである” 『沖縄返還の代償 核と基地 密使・若泉敬の苦悩』 「NHKスペシャル」取材班 光文社

沖縄返還の代償 核と基地 密使・若泉敬の苦悩作者: 「NHKスペシャル」取材班出版社/メーカー: 光文社発売日: 2012/05/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見るNHKスペシャル,「密使 若泉敬 沖縄返還の代償」(2010年6月19日放…

“その社会に生きている者が、あまりにどっぷり埋没していて俯瞰することができない、そういうときに、その社会の外から現地社会を相対化した像を見て、漠然と感じていた諸問題が、くっきりと見えてくる” 『「宗派は放っておけ」と元大臣は言った』 酒井啓子 みすず 2012年9月号

みすず 2012年 08月号 [雑誌]出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/08/02メディア: 雑誌この商品を含むブログを見る人文科学系の学問・研究においても「発見」がある.それが学問の愉しみであるはずだ.ところが,理科系の研究者には,理科系学問ではあ…

“そこに自分で作った料理の写真が載っているのだが、黒木瞳が子どもに作ったお弁当の写真とは違うのである” 『官能の人・伊吹文明 京都の四季の食卓』 お代は見てのお帰りに 連載223回 小倉千加子 週刊朝日 2012年9月7日号

週刊朝日 2012年9月7日号発売日: 2012メディア: ? クリック: 6回この商品を含むブログ (1件) を見る特定の政治家,政党を特に応援するつもりはないのだが,自民党の伊吹文明元財務大臣の趣味(特技?)にいて,小倉千加子が書いている.京都の歴史ある繊…

“父母は半信半疑だが、 本人はうまくだませたと思っている” 銀座カラー JR車内広告

活字になっているものであれば,何でも「引用」の候補である. これは,JR中央線特別快速車内の広告でみつけたもの. 夏の用語辞典 『友達の家でお泊り会』彼氏宅に泊りに行くことをさした隠喩。 夏休みに若い女子の間で多用される傾向がある。 父母は半信半…

“だから、一時間半ほどの長さのものが、意味を抜きにして「音」で体の中に入っている。その音が甦るたびに「ああ、こういう意味か」という再生が起こり、「なんでそうなるの?」という疑問も生まれる” 『義太夫節が体に入ってしまったので』 橋本治 波 2012年 08月号 新潮社

波 2012年 08月号 [雑誌]出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/07/27メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る橋本治の『浄瑠璃を読もう』がついに本になった.少しずつゆっくり読もうと大切にしているのだが,これは,その著者本人による小文.文楽…

“明治人は過剰なまでに果断であった。(略)明治日本もまた過剰なまでに果断であった” 【津田梅子 日本語が得意でなかった武士の娘】 『「一九〇五年」の彼ら』 関川夏央 NHK出版

「一九〇五年」の彼ら―「現代」の発端を生きた十二人の文学者 (NHK出版新書 378)作者: 関川夏央出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2012/05/08メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る本書の第二章 「津田梅子 日本語が得意でなかった…

“エコテロリズムを放置すればどうなるか。その刃は必ずや将来、ブーメランのごとく戻ってきて自国民の安全を脅かし、災禍をもたらす” 『恐怖の環境テロリスト (新潮新書) 』 佐々木正明 新潮社

恐怖の環境テロリスト (新潮新書)作者: 佐々木正明出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/03メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る環境問題を考える上で必読の書であろう.シー・シェパードなど過激な環境運動の背後にあるものを…

“グ口ーバリズムとナショナリズムに基づく主権国家間の権力政治の間の矛盾が、破局的な事態をもたらす危険性を超克するための「新しい世界秩序の創造」こそが、現代の「苦悩にみちた喫緊の人類史命題」である、と若泉は強調する”  『「沖縄核密約」を背負って:若泉敬の生涯』 後藤乾一 岩波書店

「沖縄核密約」を背負って 若泉敬の生涯作者: 後藤乾一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/01/23メディア: 単行本 クリック: 38回この商品を含むブログ (18件) を見る引きつづいて,四,五章よりの引用 第一章 越前の片田舎から世界へ(一九三0― 一九六…

“その時、若泉の耳朶にふれたのは、かつて激戦が展開された摩文仁(まぶに)の丘の戦跡を初めて訪ねた際、見知らぬ地元の男性から教えられた「むせびなく霊の声がこの丘にかすかにひゞく遠き海鳴り」という一首であった” 『「沖縄核密約」を背負って:若泉敬の生涯』 後藤乾一 岩波書店

「沖縄核密約」を背負って 若泉敬の生涯作者: 後藤乾一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/01/23メディア: 単行本 クリック: 38回この商品を含むブログ (18件) を見る本日8月15日は終戦記念日.それに先立つ,今年の5月15日は,沖縄返還40周年で…

“「家族」というものはやっかいで、百の家族があれば百の文化が あり、内部での人間関係も多様であるため、リアリティの在り方や受け止め方 も千差万別になります” 『荒野1/7』 高木登 鵺的第五回公演パンフレット  

高木登が主催する鵺的という演劇集団の第五回公演,『荒野1/7』のパンフレット.したがって市販品ではない.鵺的については,こちらのHP 知人の一言「必見」に誘われて,意を決して遠路観に行く.大収穫.当日券,キャンセル待ち券の入手方法を尋ねるため…

“一国の文化の水準は「長く愛され続けるもの」をどれだけ大切にするかで決まるものだ” 『吉田秀和さんの言葉 (三毛猫ホームズの遠眼鏡 2)』赤川次郎 「図書」2012年8月号 岩波書店

図書 2012年 08月号 [雑誌]出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/07/28メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る岩波書店「図書」の赤川次郎氏連載,三毛猫ホームズの遠眼鏡より.今月のタイトルは「吉田秀和さんの言葉」.98歳で亡くなった音楽評…

“2000年代の日本の科学技術コミュニケーションが「生ぬるい」と述べた理由の一つは、この問題意識の欠如なのです” 「3.11以降の科学技術コミュニケーションの課題」 平川秀幸 『もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)』 SYNODOS編 光文社

もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)作者: 菊池誠,松永和紀,伊勢田哲治,平川秀幸,片瀬久美子,飯田泰之,SYNODOS出版社/メーカー: 光文社発売日: 2011/09/16メディア: 新書購入: 23人 クリック: 532回この商品を含むブログ (46件) を見る 1章 科…