2014-01-01から1年間の記事一覧

“一つの台詞が、時間を遡り美しい過去の記憶の中に入ったり、不思議な感覚になることがあります。そこが清水さんの戯曲の面白さかもしれません” 『火のようにさみしい姉がいて』 2014.10 シス・カンパニー公演 パンフレット

火のようにさみしい姉がいて96 木冬社公演パンフレット 清水邦夫・演出 蟹江敬三 樫山文枝 松本典子出版社/メーカー: 月映書店メディア: おもちゃ&ホビーこの商品を含むブログを見る清水邦夫全仕事 1958~1980作者: 清水邦夫出版社/メーカー: 河出書房新社…

“彼らは勤勉に働くことで 紋切り型の黒人像を変えた 高いモラルと威厳ある振る舞いによって 人種間の壁を崩していった 執事やメイドは隷属的と言われるが 彼らは戦士なのだ” 『大統領の執事の涙』 ウィルヘイグッド, Wil Haygood, 中村佐千江訳 原書房

大統領の執事の涙作者: ウィルヘイグッド,Wil Haygood,中村佐千江出版社/メーカー: 原書房発売日: 2014/02/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る大統領の執事の涙 [DVD]出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店発売日: 2014/08/15メディア: DV…

“こうした彼女の行動には、少女時代に軍国主義の操り人形とされた過去への、強い自責の念が感じられる。アラブ問題に強い国会議員を18年勤め、鶴見俊輔や三木睦子らとアジア女性基金を設立、民間レベルでも元従軍慰安婦問題解決に腐心したことは、重要である” 『過去への自責の念行動に 女優・李紅蘭を悼む』 四方田犬彦 朝日新聞 2014年9月17日

女優山口淑子さん(李紅蘭)の訃報が伝えられた.山口淑子の名は,参議院議員の名前として,李紅蘭の名は,激動の時代を中国で生きた女優の名として,わずかに知っていた.特に後者については,何度かドラマ化されたのを見たことがある.最近のところでは恐…

“ケインは社会のどん底で長い時間を過ごし、どん底に漂う問題を扱った。それは事実だ” 『 カクテル・ウェイトレス』  (新潮文庫) ジェームズ・M.ケイン, James M. Cain 解説:チャールズ・アルダイ 新潮社

カクテル・ウェイトレス (新潮文庫)作者: ジェームズ・M.ケイン,James M. Cain,田口俊樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/08/28メディア: 文庫この商品を含むブログ (8件) を見る長く生きていると良いこともあるものだ.もう一度会いたいと思っていた人…

“清志郎は届けられた遺品の中にあった実母の写真をいつも持ち歩いては、とてもうれしそうに、みんなに自慢するかのように見せていた” 『あの頃、忌野清志郎と  ボスと私の40年』 片岡たまき 宝島社

あの頃、忌野清志郎と ~ボスと私の40年作者: 片岡たまき出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2014/07/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る忌野清志郎の衣装係,マネージャを務めた著者の思い出話という色彩が強いが,忌野のすぐ近くにいた人に…

“彼は現役の大統領でありながら、明らかにアメリ力の知的少数派に属している” 『詩人フロストとオバマ大統領』 川本皓嗣  図書 2014年 09月号  岩波書店

図書 2014年 09月号 [雑誌]出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/08/27メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見るアメリカ大統領としてのオバマへの評価は,現在必ずしも高くない.黒人の血をひく大統領として,リベラル民主党の党首として期待され…

“人はみな、もう一つの何かを胸に抱えたまま死んでいく。それを真実とは、呼べないけれど” “異文化とは外国のことではない。異なる世界はすぐ隣にある” 『なんといふ空』 最相葉月 PHP研究所

なんといふ空作者: 最相葉月出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2014/07/23メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る最相葉月氏の書いたノンフィクションは,『絶対音感』『青いバラ』『星新一 一〇〇一話をつくった人』『セラピスト』と…

“気鋭の考古学者が挑んだ「日本人のルーツ」は、やがて 「神の手」の異名を持つ藤村新一へ 石に魅せられた者たちの天国と地獄。” 『 石の虚塔: 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』 上原善広 新潮社

石の虚塔: 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち作者: 上原善広出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/08/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (15件) を見る世紀の大事件となった2000年に発覚した旧石器捏造事件.これまでスクープをものにした毎日新聞の…

“大日本帝国軍は大局的な作戦を立てず、希望的観測に基づき戦略を立て、陸海軍統合作戦本部を持たず、噓の大本営発表を報道し、国際法の遵守を現場に徹底させず、多くの戦線で戦死者より餓死者と病死を多く出し、命令で自爆攻撃を行わせた、世界で唯一の正規軍なのである。私が問いたいことはこうだ。 それは、正規軍と言える質だったのだろうか?” 『愛と暴力の戦後とその後』(現代新書) 赤坂真理 講談社

愛と暴力の戦後とその後 (講談社現代新書)作者: 赤坂真理出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/06/27メディア: Kindle版この商品を含むブログ (7件) を見る文庫化された『東京プリズン』を書店で見つけて購入.何か聞いたことがある程度の認識であったが,い…

”アーレントはカント講義のなかで、判断力が機能するためには人間の社交性が条件であり、人間は「精神的諸能力のためにも仲間に依存している」と語っていた。つまり複数で生きる人びとが共通感覚をもつためには、相互の仲間を必要とするといぅことである。判断は他者との関係のなかでおこなわれ、他者の立場から物を考える「拡張された思考様式」を要請する。判断力は、他者の視点から世界がどのように見えるかを想像する力を前提としている” 『ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 」』  (中公新書) 矢野久美子 

ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)作者: 矢野久美子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/03/24メディア: 新書この商品を含むブログ (32件) を見る第六章 政治と思想 1 「論争」以後 P.195 ベテルハイムは、『イェル…

”アーレントは戦時中の体験から、「世界は沈黙し続けたのではなく、何もしなかった」と考えていた。大量殺戮が始まる以前の一九三八年の「水晶の夜」にたいする各国の言論上の非難は、難民の入国制限を進めるといぅ行政的措置と矛盾していた” 『ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 」』  (中公新書) 矢野久美子  中央公論新社 (2/3)

ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)作者: 矢野久美子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/03/24メディア: 新書この商品を含むブログ (32件) を見る第四章 1950年代の日々 1 ヨーロッパ再訪 2 アメリカでの友人たち …

“アーレントはナチズムやスターリニズムの終焉後も生き残りうる「全体主義的な解決法」(複数性の抹消)にたいして警告を発しつづけたのだった”  『ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 」』  (中公新書) 矢野久美子  中央公論新社 (1/3)

ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)作者: 矢野久美子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/03/24メディア: 新書この商品を含むブログ (32件) を見るハンナ・アーレントの伝記,解説として,出色の本. 最晩年のハンナ…

“道具は消費财ではないのだ。だから飽きるということと無縁だ。毎日使う庖丁を,自分で手入れすることはかけがえのない実生活に差し向かうということでもある” 『有次と庖丁』 江弘毅 新潮社

有次と庖丁作者: 江弘毅出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/03/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 大阪,京都の伝統によって守られている,庖丁の歴史.新潮社「波」に連載されていたものが,多くの魅力的な写真とともに本になった.単…

“だからどうすべきかは政治家に任せるべきだという意見をしばしば耳にします。 それは、学者にとって楽な生き方です” 『リスクと向きあう 福島原発事故以後』 中西準子, 河野博子 中央公論新社

リスクと向きあう 福島原発事故以後作者: 中西準子,河野博子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/11/22メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 59回この商品を含むブログ (9件) を見る中西準子さん(紫綬褒章も受章している大先生です)のお名前は、30…

“青春小説---と思いきや、XXXからXX行目(絶対に先に読まないで!)で、本書はまったく違った物語に変貌する” 『 イニシエーション・ラブ』  (文春文庫) のカバーより 乾くるみ 文藝春秋

イニシエーション・ラブ (文春文庫)作者: 乾くるみ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/09/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るライトノベルの類のものを読むことはないのだが,「これだけは」と薦める声をあまりに多く聞く昨今なので読んで…

“「限界の学習」ということで話が終わっているなら、ここまで心 に響く物語にはなるまい。そうした学習を遂げたあとに、人はどうふるま うのか。イシグロはつねに、そこにも目を向ける。” 柴田元幸 蜷川幸雄演出『わたしを離さないで』上演プログラム

蜷川幸雄演出『わたしを離さないで』上演プログラム Kazuo Ishiguroの小説“Never let me go”(『私を離さないで』)が,映画化された時,その映画パンフレットに,蜷川幸雄が舞台化を考えているということが書いてあったと記憶している.あの小説が書かれた…

“人は何の経験がなくとも、バカになつて突つ込んでいけば、誰か助ける人が出てきてくれる” 『イベリコ豚を買いに』 野地秩嘉 小学館

イベリコ豚を買いに作者: 野地秩嘉出版社/メーカー: 小学館発売日: 2014/03/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (15件) を見る野地秩嘉さんの書いたものとの出逢いは随分と昔になるが、気負いのないよい文章を書く人である。目線が低く保たれていて、安…

“若いとき、人は生涯に続く習慣を作り上げ、それはどんな厄災にも持ちこたえるものだと信じる” 『情事の終り』  (新潮文庫) グレアムグリーン 訳:上岡伸雄 新潮社

情事の終り (新潮文庫)作者: グレアムグリーン,Graham Greene,上岡伸雄出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/04/28メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見るEnd Of The Affair作者: Graham Greene出版社/メーカー: Penguin UK発売日: 1962/01/02メデ…

“人も自然の一部である。それは人問内部にもあって生命の営みを律する厳然たる摂理であり、恵みである。科学や経済、医学や農業、あらゆる人の営みが、自然と人、人と人の和解を探る以外、我々が生き延びる道はないであろう” 『天、共に在り』 中村哲 NHK出版

天、共に在り作者: 中村哲出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2013/10/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るアフガニスタンの農業復興、医療支援に、文字どおり生涯をかけている中村哲(てつ)氏の、自身による記録である。NHKの「知るを楽し…

“中井の家を出るときふしぎな 解放感が湧き上がつてきた、と 最相は書くが、それはたぶん嘘 ではないかと思う” 『絵画療法を軸に心の治療を辿る』 サイエンスcrossover 瀬名秀明 (週刊朝日 2014年 3/28号 朝日新聞出版)

週刊朝日 2014年 3/28号 [雑誌]出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/03/18メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る最小葉月『セラピスト』の書評が、新聞等にたくさんでており、今評判の一冊である。 その中で、この瀬名の書評(コラム)は…

“演劇は、人類が生み出した世界で一番面白い遊びだ。きっと、この遊びの中から、新しい日本人が生まれてくる” 『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書) 』 平田オリザ 講談社

わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)作者: 平田オリザ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/12/17メディア: Kindle版購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (10件) を見るコミュニケーションを扱った書物は、山…

“原子力発電にかかつているコストはこれだけなのであろうか。むしろ、原子カ発電には直接発電に要するコスト以外にも様々なコストがかかつているのではないだろうか” 『原発のコスト――エネルギー転換への視点』  (岩波新書)  大島堅一 岩波書店

原発のコスト――エネルギー転換への視点 (岩波新書)作者: 大島堅一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/12/21メディア: 新書購入: 7人 クリック: 49回この商品を含むブログ (25件) を見る 原子力発電のコストを考える上で、基本文献となりうる書物。論じる…

“死刑制度が拘置所職員、教誨師など刑を執行する側の人々の心 に深い傷を与えていることが静かに伝わつてくる” 『読まずにはいられない 死刑制度が与える 深い傷を淡々と』 book 041 佐藤優 AERA (アエラ) 2014年 3/10号 朝日新聞出版

AERA (アエラ) 2014年 3/10号 [雑誌]出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/03/03メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見るAERAに、佐藤優氏による『教誨師』(堀川惠子著)の書評が掲載された。 少しでも長く生きたいという死刑囚の本能と、機…

“技術の固まりであるはずの、国策としての原発が、結果的には「偶然」に救われたことになり、とても正気の沙汰ではありません” 『日本は再生可能エネルギー大国になりうるか』  (DIS+COVERサイエンス)  北澤宏一 ディスカヴァー・トゥエンティワン

日本は再生可能エネルギー大国になりうるか (DIS+COVERサイエンス)作者: 北澤宏一出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2013/02/04メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る東日本大震災から今日で3年である。まだ東京五輪で浮か…

“秘密というのは秘密のままにしておくのが難しい。秘密は心の被膜ぎりぎりのところに身を潜めていて、それを抱える人の決意にひび割れを見つけるや、そこからいきなり這い出してくるのだ” 『秘密』 (上・下) ケイト・モートン 訳:青木純子 東京創元社

秘密 上作者: ケイト・モートン,青木純子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/12/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (118件) を見る秘密 下作者: ケイト・モートン,青木純子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/12/21メディア: 単行本この商…

“物は何も語りはしない。  しかし雄弁にもできる。  真実を語らすことも、嘘に利用することも。” 『桶川ストーカー殺人事件―遺言』  (新潮文庫) 清水潔 新潮社

桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)作者: 清水潔出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2004/05/28メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 143回この商品を含むブログ (46件) を見る涙なくしては読めない本である。日本の警察機構、マスメディアのあり方に、一石…

“「どんな時でも、笑顔を忘れるな。困った時、怒りたくなった時、辛い時、すべて、皆の顔を見て、笑顔を見せなさい。それができれば、あなたは生き残れる」” 『 ゴジラで負けてスパイダーマンで勝つ: わがソニー・ピクチャーズ再生記』 野副正行 新潮社

ゴジラで負けてスパイダーマンで勝つ: わがソニー・ピクチャーズ再生記作者: 野副正行出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/10/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る新潮社の波2013年11月号に、元ソニー執行役員兼ソニーEVPの北谷賢司氏が、…

“フロストを読んだら、いろいろな意味で、英国社会がわかる。それと同時に、人間はどこでも同じだということもわかる(養老孟司)” 『冬のフロスト』 (上・下) (創元推理文庫)  R・D・ウィングフィールド 芹澤恵訳 東京創元社

(創元推理文庫)" title="冬のフロスト (創元推理文庫)">冬のフロスト (創元推理文庫)作者: R・D・ウィングフィールド,芹澤恵出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/06/28メディア: 文庫この商品を含むブログ (56件) を見る (創元推理文庫)" title="冬のフ…

“十九歳のとき(多分、太地喜和子に誘われて)、同じこの地で唐十郎の下町唐座の芝居を観て、役者が縦横に走り回り、お客が熱狂する姿に、「歌舞伎の原点はこれだ」と思う。以来、先祖の勘三郎代々が座元(興行主)も兼ねた「中村座」を平成の世に甦らせたいと、誰彼となくその夢を語り続けた” 『勘三郎伝説』 関容子 文藝春秋

勘三郎伝説作者: 関容子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/11/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見るすごくいい話がたくさん詰まった珠玉の一冊!!! 古い世界の歌舞伎を、伝統を壊すことなく、変えていこうとしていた人だったことを知…

“回復に至る道とはどんな道か。クラィエントとセラピストが共にいて、同じ時間を過ごしなから手探りで光を探す。心の底にひそんでいた自分でさえ気づかない苦悩、悲哀にそつと手を差し伸べる。一人では恐ろしい深く暗い洞窟でも、二人なら歩いて行ける” 『セラピスト』 最相葉月 新潮社 (2/2)

セラピスト作者: 最相葉月出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/01/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (46件) を見る 中井久夫による絵画療法を受ける。さらに、中井久夫に対して絵画療法を試みる。中井久夫とのコミュニケーションの中で、次の二つの…