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“問題は、その完璧な会話能力である” 『ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘  (中公新書)』 中島義道 中央公論社

ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書)

ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書)

扉の紹介文から

学士号二つに修士号を一つ得ながら学問への心残り絶ち難く、三三歳にしてウィーンに赴いた青年を待っていたのは、“高慢”にして“偏見”に満ちたヨーロッパであった。他人の不正に敏感で、自己の権利を頑迷に主張する高飛車な人々の中で、諦めてひそやかに暮すか、姿勢を硬くして耐えるか。青年は決意する。後悔や不安を残さぬため、理不尽な言動に対しては断固戦うと。潔癖な憤りと涙と笑い溢れる、四年半のウィーン喧嘩留学記。

手持ちのものは1993年の刷りであるから,18年前に読んだ本.ややシニカルなウイーン滞在記という印象であるが,今でも覚えている事柄は下記.
学生の学力のなさ,覇気のなさと対照的に,教授陣の学力の高さと研究への意欲は,日本のウイーンも同じという.そして,ウイーンの教授陣の日本語読解力は日本の平均的知識人より数段上であり,同様に,日本の教授陣のドイツ読解力はウイーンの平均的知識人より数段優る.しかし,である.

問題は、その完璧な会話能力である。リンハルト教授にしろパンツァー講師にしろ、もし彼らが名前を名のらず日本人に電話をかけたら、相手は、彼らが日本人であることをつゆ疑わないままいつまでも話し続けるであろう。なるほど、こうした「芸当」は必要ないのかもしれない。だが、日本のドイツ語の先生が、こうした「芸当」ができない自分を誇る理由もまた見当たらないのである。

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【読んだきっかけ】
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