“ひとりを楽しむ先には豊かな生活がある” 『行正り香のひとりごはん生活 1』 週刊朝日 2012年4月6日号

週刊朝日のグラビアページで4月から,「行正り香のひとりごはん生活」という連載がはじまった.これがなかなか気に入っている.行正り香の料理本は,背伸びしていないところが,普通の一般人には,読みやすく,私の身の丈に合っているという安心感がある.
週刊朝日の読者はどの世代に多いのかよくわからないが,「ひとりごはん生活」の連載は,必ずしも,学生や単身赴任者だけにターゲットをおいたものではないだろう.これが読まれるとすれば,それは,世代を超えて世の中一般に,一人暮らしの人が増えていることに他ならない.
この新しい連載の魅力は,レシピの他に,添えられた文章の中で,ちょっとした人生観が,ごく自然な形で触れられている点にもある.料理は料理のためにあるのではなく,具体的な実生活とセットであるものだ,ということを感じさせる.「今週のお供」として,ちょっとした調理器具が紹介されている点もアクセントになっている.

「ひとりの時間を楽しむ」ことができたなら、その先には豊かな生活が存在するような気がします。自分のために掃除をし、整理整頓し、買い物に行き、食べたいものを作り、見たい映画を見ることができる人は少なくとも自立している。パートナーや組織に生き甲斐やしあわせ、心地よさを求めるのではなく、小さな日常の中に自分でしあわせを探すことができる。私にとって一緒にいて心地よい人は、どこか独立した強さのある人です。

 自分で料理ができたなら、定年後まで妻に「おい、めし!」と怒鳴る必要はありません。妻が外出でして帰ってこない日におなかをすかせてイライラ待つ必要も、コンビニごはんを毎晩食べる必要もありません。

ちなみに、この後の週の連載タイトルは,
第3回:条件が揃うのを待つと人生が終わってしまう
第4回:ペットがいると家に温度が生まれる
第5回:“最初の3ヵ月”はカウントしない
【関連読書日誌】

  • (URL)大きなキッチンも、高い材料もいりません。必要なのは小さなやる気と30分。” 『19時から作るごはん』 行正り香 講談社
  • (URL)「親切で使いやすい」「簡単でおいしい」「料理家が信頼できる」台所に立つ人にとって、料理書は頼もしい味方です” 特集 考える料理 考える人 2011年 11月号 新潮社

【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】

行正り香の 今夜は家呑み

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行正り香の自分定食

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