“一国の文化の水準は「長く愛され続けるもの」をどれだけ大切にするかで決まるものだ” 『吉田秀和さんの言葉 (三毛猫ホームズの遠眼鏡 2)』赤川次郎 「図書」2012年8月号 岩波書店
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フィッシャー・ディスカウと吉田秀和が「ドイツ歌曲がなぜ日本人に愛されているか」について対話した内容を,吉田は文章にしたが,それを読んだ赤川はそれをヒントに,『冬の旅』なる推理小説を書く.ワトソン役をつとめたの音楽評論家「吉田英一(えいいち)」.後年,吉田に「あなた,僕のことを小説に書いたでしょ」と言われたそうだ.
吉田秀和氏と最後に会ったときには,
「あなたの朝日のコラム、読んでるよ」
「今、朝日で面白いのはあなたのこらむだけだよ」
といわれた,とか.
クラシック音楽や文楽への補助金削減を見てもわかるが、橋下氏は「敵に回しても自分の人気に影響ない」ところを選んで槍玉にあげて攻撃する。「補助金がなければやっていけないものはなくなってもいい」というのが主張のようだが、クラシック音楽も文楽も何百年の歴史を持っている。今、もてはやされているAKB48にいくら客が入っても、何百年もの間に、ベートーヴェンや近松を愛した客に比べれば、わずかなものである。
一国の文化の水準は「長く愛され続けるもの」をどれだけ大切にするかで決まるものだ。
イタリアにはオペラが、フランスにはコメディ・フランセーズの演劇が、英国にはシェークスピアがある。
そして大阪には文楽という「宝物」があるのだ。大阪に生まれ、大阪で育った文楽を大阪が潰すとしたら、文化国家日本などと胸を張ってはいられない。
【関連読書日誌】
- (URL)“恋が言わせる付けことば”『赤川次郎の文楽入門―人形は口ほどにものを言い』 赤川次郎 小学館文庫
- (URL)“特に演劇の中継録画の番組がなくなったのは問題で、小劇場での演劇は、NHKの放映がなければ東京以外ではまず見ることができない。演劇文化にとっては大きなマイナスである” 『中身も重要、ハイビジョン』 (三毛猫ホームズと芸術三昧!) 赤川次郎 2011/07/15, 朝日新聞
【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】
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