“「伝える仕事」に携わるほとんどの人が、ずっと「露出を増やす発想=露出脳」の習慣が長かったので、なかなかそこから抜けられない” 『明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 』 (講談社現代新書) 佐藤尚之 講談社

広告マーケティングのプロによる本。ヤンキー経済という言葉は知らなかった。
P.14

マイルドヤンキー、もしくは新ヤンキーと呼ばれる人たち
2014年、『ヤンキー経済』といぅ本が広告業界で話題になつた(原田曜平著/幻冬舎新書)。
「ファッションも精神もマイルドな新ヤンキー」を「マイルドヤンキー」と名付け、その日常と消費行動を追ってうる本である。
 そして、「彼らは『若者がモノを買わない』時代、唯一旺盛な消費欲を示している」と書かれている。「伝える仕事」に携わるボクたちにとって無視できない存在だ。
 この分野は、いくつかの本で研究されつつぁるが(注13)、実はまだくわしくは研究されていない。いままで社会学者の視野に入っていなかつた、というのが現実かと思う

注13で紹介されるおすすめ本

ヤンキー文化論序説

ヤンキー文化論序説

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

第1章 「情報“砂の一粒”時代」がやってきた 「伝える仕事」に携わる人にとって超アゲンスト
第2章 忘れちゃいけない! 情報“砂の一粒”時代「以前」を生きる生活者たち
P.80

テレビ局も、調子のいい局は「年収300万円の人たち」にフォ―カスしてます。
トレンディだつたり総中流を狙つたりするのではなく、ヤンキー一家みたいなところにフォーカスしたことによつて、視聴率がとれてきています。

P.90 砂一時代以前の生活者にとって、新聞、テレビはいまだ重要なメディア!

 いや、何が言いたいかというと、マスメディアの終焉だとか、メディアの強弱だとかを安易に語らないほうがいいのではないか、といぅことだ。
 あまりに安易にテレビや新聞を否定する人が多いが、伝えたい相手が砂一時代以前の場合、いまでも超強力なメディアなのである。
 え? 雑誌やラジオはどうかつて?
 雑誌やラジオは、むしろ「砂一時代」によく効くメディアだと思う。
 そう、ネットを日常的に使う生活者に対してである。
 なに馬鹿なことを言つてるんだ、雑誌やラジオはネットに取つで代わられるに決まつてる!と思われる方も多いかもしれない。

第3章 友人という最強メディア 砂一時代という超アゲンストに打ち勝つ方法
第4章 ファンベースとマスベース 砂一時代と砂一時代以前でプランニングを切り分ける
P.149

砂一時代と砂一時代以前とでは、完全にアプローチが違う
 2005年以前は、情報は喜ばれ役に立つものだった。
 だから、邪魔だろうが強制的だろうが、とにかく情報を生活者に届けさえすれば、興味関心なくても、生活者は比較的受けとってくれた。
 その情報で「笑顔」になってくれていたのである。
 しかし、2005年以降はガラリと変わる。
 情報“砂の一粒”時代に突入していくからだ。
 146ぺージ図14の右仰を見てほしい。
 砂一時代に突入し、情報はもうありすぎてうざいものとなった。
 興味関心がない情報なんていらないものの最たるものゆえ、生活者は基本スルーする。
 広告は特にうざい。

P.165

 いままで伝える仕事に携わっている人は「フアンの外側にいる人」、つまり、まだファンンになっていない大勢を狙うのが仕事だった。
「新規顧客」を取り込むのが、マーヶティングの目的だったのである。
 でも、砂一時代の生活者においては、そぅはいかない。
 ファンべースで考えなければいけないのである。

第5章 ファンにアプローチする方法 砂一時代の生活者にどうリーチするか
第6章 ファンからオーガニックな言葉を引き出す七つの方法 砂一時代の生活者が態度変容するオーガニックリーチ
P.203

(A)社員といぅ「最強のファン」の共感を作る。
(B)ファンをもてなし、特別扱いする。
(C)生活者との接点を見直す。
(D)商品自体を見直す。ファンと共創する。
(E)ファンを発掘し、活性化し、動員し、追跡する。
(F)ファンと共に育つ。ファンを支援する。
(G)ファンとビジョンを分かち合ぅ。

Aにおけるおすすめ本

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説

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エンパワード~ソーシャルメディアを最大活用する組織体制 (Harvard Business School Press)

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ソーシャルシフト―これからの企業にとって一番大切なこと

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Bにおけるおすすめ本
グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

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Cにおけるおすすめ本
真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか

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顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説

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Eにおける参考書
アンバサダー・マーケティング

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グランズウェル~ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 (Harvard Business School Press)

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P.248

(G)フアンとビジヨンを分かち合う。
 さて、最後は主に「CSV」の話である。
 CSVとは「Creating Shared Value」の略で、訳せば「共通価値の創造」であろうか。
そう、小難しい。
すっごく簡単に言うと「企業が、慈善活動的に社会貢献活動をするのではなく、ちゃんと利益を出しながら、社会的な課題を解決する活動を(生活者とともに)する」ということだ。

P.257

 つまり、この7つの方法を砂一時代の生活者に向けてすることは、砂一時代「以前」の生活者に対しても無駄にはならないということである。
 二極化した生活者の両方に効果があるということだ。
 むしろ、砂一時代以前の生活者はいわゆるリア充の人が多いので、仲間同士 (トライブ)でよく会つているし、お互いに影響しあうことも多いと思われる。
 なので、友人知人のオーガニックな言葉は、逆に効きやすいと言えるくらいである。

P.270

「伝える仕事」に携わるほとんどの人が、ずっと「露出を増やす発想=露出脳」の習慣が長かったので、なかなかそこから抜けられない。
 みんなの疲れのもとになっているのがここである。

【関連読書日誌】
【読んだきっかけ】書店にて
【一緒に手に取る本】

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