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“黒柳さんは、天衣無縫な天然ボケが魅力だったことは確かだが、その根底が「真摯に生きる女性」であることを見逃してはならないと思っている” 『ザ・ベストテン (新潮文庫)』 山田修爾 新潮社

ザ・ベストテン (新潮文庫)

ザ・ベストテン (新潮文庫)

ザ・ベストテン」は,1978年から12年も続いた歴史的音楽番組.最高視聴率42%,司会は,黒柳徹子久米宏というゴールデンコンビ.現在40から60歳くらいの年代には忘れられない番組であろう.そのプロデューサによる思い出録.文庫版あとがき,黒柳徹子との対談,全603回のベストテン曲リスト付き.
 携帯電話もない,衛星中継もほとんど実績がない,時代における生番組.しかも,地方中継多い中でのどたばたげき.高視聴率故にかけられた経費,などなど話題に尽きない.

  • 番組企画段階で,キャスティング方式を推すシニア社員と,ランキング方式を推す若手社員との間で,議論が紛糾.最後は新任制作局長の鶴の一声で決まり.「これからは若い世代に任せた方がよいだろう」
  • 番組で表示される4桁の点数がどうやって計算されているのか,とずっと思っていたが本書で判明.

 33.3×(リクエスト葉書(1位30点〜30位1点)×4)+(レコード売り上げ(同)×3)+(ラジオランキング(同)×2)+(有線放送リクエスト(同)×1) = 満点33.3×300点=満点9999点

  • 黒柳徹子の司会受諾条件「順位で嘘をつかなければ」
  • 人権問題などを含む社会問題への久米と黒柳の関心と見識

黒柳さんは、天衣無縫な天然ボケが魅力だったことは確かだが、その根底が「真摯に生きる女性」であることを見逃してはならないと思っている。

  • マネージャの優劣を見極めるポイント「歌手・役人本人のいいなりにならない」

 この仕事が必要だと判断すれば、本人の言い分はいっさい聞かず、断固として仕事を続行させる。
 歌手・役者、という“商品”を守ることも大切だが、勝負させることも重要なことを、優秀なマネージャーはきちんとわきまえているのだ。

 番組のオープンイニング,ダッーと早口でまくし立てる久米に,
 「えっ,何ですか,小島一慶さん」と突っ込む黒柳
 久米のとっさの反応,「何ですか,里見京子さん」

これには,黒柳も驚嘆したという.なぜ,このやり取りが凄いのかは,本書を読んで下さい.いかに,たくさんの引き出しを用意しておくか,それは日頃の鍛錬以外の何ものでもないでだろう.そして,それを,瞬時に,最適なものを取り出してみせる瞬発力,これは,天賦の才能だろう.
 番組初回と,最終回のベストテンは下記.初回のランキング11位「赤い絆」12位「秋桜」の山口百恵.番組初回に山口百恵が出なくてよいのか,もめたという.

第1回,1978年1月19日
 1:UFO,ピンク・レデイ―
 2:わな,キャンディーズ
 3:しあわせ芝居,桜田淳子
 4:わかれうた,中島みゆき
 5:禁漁区,郷ひろみ
 6:憎みきれないろくでなし,沢田研二
 7:ブーツをぬいで朝食を,西城秀樹
 8:若き旅人,狩人
 9:泣き虫,清水健太郎
10:風の駅,野口五郎

第603回,1989年9月28日
 1:黄砂に吹かれて工藤静香
 2:太陽がいっぱい光GENJI
 3:リゾ・ラバ,爆風スランプ
 4:GLORIA,ZIGGY
 5:世界でいちばん熱い夏,PRINCESS PRINCESS
 6:淋しい熱帯魚Wink
 7:Dream Rush,宮沢りえ
 8:シングル・アゲイン,竹内まりや
 9:MISTY〜微妙に〜,氷室京介
10:ヴァージン・アイズ,中山美穂

【関連読書日誌】

  • (URL)おしなべて回想は恥多きものですが、歳月の経過に濾過されて〈現在(いま)〉という刻(とき)を純にしたりもします。” 『当マイクロフォン』 三田完 角川グループパブリッシング
  • (URL)その人は、ステージのかぶりつきまで押し出してきて、人一倍大きな手拍子を打ち、踊る役者たちに向って、「イヨッ、日本一!」「待ってマシタ!」等の掛け声をだれ揮ることなく浴びせかけている。「ここにもひとり、本当にテレビドラマを愛している人がいるのだ」と、そう思うよりほかに僕には理解の仕様がなかった。” 『淋しいのはお前だけじゃない』 市川森一 大和書房

【読んだきっかけ】
宮藤官九郎が週刊誌の連載で,本書に触れていたのを読んで読みたくなった.仙台丸善にて購入.
【一緒に手に取る本】

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