“地位を築いた研究者たちは、徐々に「目に見えない大学」つまり非公式のコミュニケーション・ネットワークをヨーロッパ中に立ち上げていった” ダニエル・H.A.C.ローキン, フェルメールからのラブレター展カタログ, 2011
http://vermeer-message.com/ (展覧会のHP)
Human Connections in the Age of Vermeer
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渋谷のBUNKAMURAで「フェルメールからのラブレター展」が始まった.展覧会のタイトルがやや,客寄せを意識したものだが,英語では“Communication: Visualizing the Human Connection in the Age of Vermeer”というもの.日本語副題として「コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ」とある.これらのタイトルの方が,展覧会の本質を突いている.フェルメールとその同時代のオランダ画家が描いた手紙をモチーフとした絵画を集めたものである.フェルーメルは3点だけでが,展覧会全体の構成,ストーリに工夫があり,面白い.手紙の社会史,あるいは手紙の人類学,といった趣である.
その中で,4部構成の展覧会の中で,第3部の「職業上の、あるいは学術的コミュニケーション」と題する展示に関する文章から引用しておきたい.
科学者や人文学者たちは、公式あるいは非公式を問わずに、コミュニケーションを取り合っていた。科学の分野において、非公式のコミュニケーションは、伝統的にコミュニケーション・ルート、つまり同僚や教師との個人的な接触を通して行われることが主流だった。地位を築いた研究者たちは、徐々に「目に見えない大学」つまり非公式のコミュニケーション・ネットワークをヨーロッパ中に立ち上げていった。
学術雑誌の最も早い形は、17世紀、つまり自然科学を含むさまざまな分野の研究が活発となった時代に誕生した。17世紀中頃になると、科学の活動に関心をもつ人々と科学者のために、相互的な公開討論会(フォーラム)を準備しようという機運が高まった。この時期には、英国王立協会(1660年ロンドンで成立、1662年に公認)やフランス科学アカデミー(1666年パリで成立)にような学会の設立が相次いだ。しかしながら、科学雑誌や学会が発行する機関誌のみが、孤立して存在していたわけではない。それ以外のコミュニケーションの形態としては、手紙や私的なやり取り、科学書、新聞などに科学に関する印刷物があった。
この部分の執筆者は,本展監修者のダニエル・H.A.C.ローキン.
1992年ハーグでの国際会議の発表の折り,デルフトを訪ねたことがある.町の小さな協会に,アントニ・ファン・レーウェンフック(Antoni van Leeuwenhoek)のお墓があって感動したのを思いだす.1632年のレーウェンフックは,顕微鏡の発明者として知っていて,昔,伝記をさんざん読んでいた.が,そんなところにお墓があるとは思っていなかった.そして多分その横にフェルメールのお墓もあったはずだが,当時この画家のことはまだ知らなかった.懐かしい思い出.
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フェルメール本はたくさんあってどれが良いのかわからない.
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