“第二次世界大戦世代の人聞は自分たちのことを自慢して歩かない” “第二次世界大戦の帰還兵は、スポーツの試合で起きていることと戦場での出来事を、決して混同 しない” 『DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語』 ボブグリーン, Bob Greene, 山本光伸訳 光文社 (その1)

DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語

DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語

 ボブ・グリーンは稀代の名コラムニストである.近年の報道によれば,晩節を汚した感はあるが,コラムニストとしての評価は覆ることはないだろう.ボブ・グリーンのものをそれほど読んでいるわけではないが,本書だけでもその巧さは実によくわかる.
 広島に原爆を落とした飛行機,エノラ・ゲイを機長として操縦していたポール・ティベッツ.当時30歳で,今83歳となったティベッツ氏へのインタビューに成功する.そのティベッツ氏と同年齢で,大戦に従軍し,今死の床にある,グリーンの父親の人生とが交錯する.彼らの住む町は,あのオハイオ州コロンバス.これはたまたまであろうが何年か前に高校制による銃乱射事件のあった町である.
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第二次世界大戦世代に対する世間の再評価にもかかわらず、その戦争から帰還したアメリカ人兵士たちは、自分たちの戦いを吹聴して回らない。