女性・ジェンダー

“これは高野さんが続けてきたエキプ・ド・シネマへの信頼感がもたらした結果だったと思う” 『高野悦子さんを悼む  映画作家の心届けた人』 羽田澄子 朝日新聞 2013年2月19日

岩波ホール総支配人の高野悦子さんが亡くなった.氏の,『母 老いに負けなかった人生 (岩波現代文庫)』を読んだばかりだったと言うこともあるが,何より,岩波ホールの映画に精神形成の幾ばくかを負っていると自覚するものにとって,感慨深いものがある.『…

“私が介護の原則は「説得より納得」ということに気がつき、母の希望にそった、母中心の介護に変えたとたん、母はみるみる回復した。母の痴呆は介護に対する不満、私に対する最大の抗議だった” 『母 老いに負けなかった人生 (岩波現代文庫)』  高野悦子 岩波書店

母 老いに負けなかった人生 (岩波現代文庫)作者: 高野悦子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/01/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る岩波ホールの映画は学生の時にかなり見た.最初がエルマンノ・オルミの「木靴の樹」.田舎からでてき…

“戦争が煽り立てる「明快さ」が、ある種大きな解放感をもたらすものであること、どのような社会にも、戦争に加担することによって暖昧さや迷いを解消してしまえるという誘惑があること” 『娘の眼から―マーガレット・ミードとグレゴリー・ベイトソンの私的メモワール』 メアリー・キャサリンベイトソン, 佐藤良明, 保坂嘉恵美訳 国文社

娘の眼から―マーガレット・ミードとグレゴリー・ベイトソンの私的メモワール作者: メアリー・キャサリンベイトソン,Mary Catherine Bateson,佐藤良明,保坂嘉恵美出版社/メーカー: 国文社発売日: 1993/02メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ…

“以前は人が獣類を圧倒していたのに、いまや人が獣類に負け始めている” 『女猟師』 田中康弘 エイ出版社

女猟師作者: 田中康弘出版社/メーカー: エイ出版社発売日: 2011/07/25メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (4件) を見るけもの偏の猟師である.猟師という職業への興味は,月刊「みすず」の連載で始まった(著者は別). ゲームへの熱狂ぶ…

“そこで生きざるを得ない人たちが、ある意味、一所懸命に暮らしている町だから、邪魔をしてはいけない” 『さいごの色街 飛田』 井上理津子 筑摩書房

さいごの色街 飛田作者: 井上理津子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/10/22メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 210回この商品を含むブログ (51件) を見る飛田を取材して,「真っ当な」本にするということが可能なのだろうか,と思っていた.しかも…

“『坊っちゃん』は、実のところ、女性をカヤの外に置いた、男たちの未熟な自己陶酔的正義感のオンパレードにすぎないのではないか” 『恩を仇で返す気はないけれど』 本と私の時間25 佐伯順子 図書 2012年 01月号 岩波書店

図書 2012年 01月号 [雑誌]出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/12/26メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る今月の『図書』の中から,比較文化の佐伯順子による小文,『恩を仇で返す気はないけれど』. 小さい頃,慣れ親しんだ世界の名作数々…

“東:その「無駄話」によって、本来は開けるはずだったのに閉じてしまっているコミュニケーションの回路が、再活性化されて動き出すからです。”“宮台:最近、面白いことに気がつきました。ソーシャルスキルのある人間ほど単純労働 を嫌がらないことなんです。” 『父として考える (生活人新書) 』 東浩紀, 宮台真司 日本放送出版協会

父として考える (生活人新書)作者: 東浩紀,宮台真司出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2010/07/10メディア: 新書購入: 8人 クリック: 276回この商品を含むブログ (76件) を見る宮台真治と東浩紀の対談.今もっとも迫力のある発言ができるお二人によ…

“統計は全体を俯瞰する方法であって、わたしを知る方法ではない” 『百万回の永訣―がん再発日記  (中公文庫)』 柳原和子 中央公論新社

百万回の永訣―がん再発日記 (中公文庫)作者: 柳原和子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (7件) を見るBSアーカイブス ハイビジョン特集「百万回の永訣 柳原和子 がんを生き抜く」…

“文学の責務は良心と道義的な覚醒に向けて、不正に対する憤りと被害者に寄せる共感に裏打ちされた敏感さの拡張に向けて、目覚ましのベルを鳴らす工夫をすることです” 『この時代に想うテロへの眼差し』 スーザンソンタグ, Susan Sontag, 木幡和枝訳 NTT出版

この時代に想うテロへの眼差し作者: スーザンソンタグ,Susan Sontag,木幡和枝出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2002/02メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (21件) を見る9.11のあと,大統領以下国民全体が熱に浮かされている中,…

“家族や夫や子供たちを置き去りにして、世界最高所の死臭漂う遊技場へ飛び込んでいこうだなんて、どうすればそんな決心ができるのだろう” 『K2 非情の頂―5人の女性サミッターの生と死』 ジェニファージョーダン 山と溪谷社

K2 非情の頂―5人の女性サミッターの生と死作者: ジェニファージョーダン出版社/メーカー: 山と溪谷社発売日: 2006/03/01メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (7件) を見る山の本には,ロマンとドラマがある.死と隣り合わせの命がけ道行き…

“今こそ、私たちの来し方を振り返り、戦後の再スタートの土台に据えた精神を思いおこすべきだろう” 『チンチン電車と女学生』 堀川惠子, 小笠原信之  日本評論社

チンチン電車と女学生作者: 堀川惠子,小笠原信之出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2005/07メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (14件) を見る第二次世界大戦前,広島に,「広島電鉄家政女学校」があった.忘れられかけていた幻の女学校を…