“他人の非を咎めるとき、おのれの正しさを言い立てるときに、弁舌さわやかな人間を私は信じない” 『人の罪を咎めるときの解とは、控えめにためらいがちに語れ』 内田樹 AERA (アエラ) 2013年 6/10号 朝日新聞出版
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従軍慰安婦をめぐる政治家の発言を受けて
「あなたがたのうちで罪のない者が、最初に彼女を投げなさい」(『ヨハネによる福音書』)
(中略)
だが、注意してほしいのは、イエスはこれを「話にけりをつける」ために口にしたのではないということである。彼は「答えのない問い」にアンダーラインを引くためにこの言葉を口にしたのである。
多かれ少なかれ私たちは罪人である。罪人に他の罪人を咎める権利があろうか?いや、誰にも他者の飛行を咎める権利はない。だが、それが「フェアネス」だとなると、罪人は野放しにされ、結果的に「つよい罪人が」が「弱い罪人」を食い物にするワイルドな世界が到来するだけである。それを「フェアネスの実現」と呼ぶことはできない。
このむずかしい問いに私が用意している経験的な解は『人の罪を咎めるときは、わが身を省みて、控えめに、ためらいがちに語る』ということに尽くされる。他人の非を咎めるとき、おのれの正しさを言い立てるときに、弁舌さわやかな人間を私は信じない。
【関連読書日誌】
- (URL)“何千もの幸運な偶然によって、あるいはお望みなら神の奇跡によってと言ってもいいが、とにかく生きて帰ったわたしたちは、みなそのことを知っている。わたしたちはためらわずに言うことができる。いい人は帰ってこなかった、と” 『夜と霧 新版』 ヴィクトール・E・フランクル 池田香代子訳 みすず書房
【読んだきっかけ】
【一緒に手に取る本】

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