2013-01-01から1年間の記事一覧

“山ロ昌男さんから受け継ぐべき一冊は何かと問われたなら ば、その答えははっきりしている。『文化と両義性』である” 『山口昌男,または弁証法のゆくえ』 赤坂憲雄 ユリイカ 2013年6月号 特集=山口昌男 道化・王権・敗者

ユリイカ 2013年6月号 特集=山口昌男 道化・王権・敗者作者: 高山宏,中沢新一,上野千鶴子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2013/05/27メディア: ムックこの商品を含むブログ (9件) を見る赤坂憲雄氏は,六車由美氏の師匠でもある. P.154 たとえば、山ロ昌男…

“『鯰絵』をレヴィ=ストロ ―スの『仮面の道』と重ね合わせたこの解説を目にして一番喜んだのは山ロ昌男だろう” 『鯰絵ー民俗的想像力の世界』 文庫本を狙え 761 坪内祐三 週刊文春 2013年 7/4号

週刊文春 2013年 7/4号 [雑誌]出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/06/27メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る文庫本を狙え という1ぺーじものの連載. 『鯰絵ー民俗的想像力の世界』C・アウエハント著,小松和彦・中沢新一・飯島吉晴・古家…

“「わたしは知らない」という、この小さな言葉をわたしはそれほど大事なものだと考えています。それは小さなものですが、強力な翼を持っています” 『終わりと始まり』 ヴィスワヴァ・シンボルスカ 訳:沼野充義  出版社:未知谷

終わりと始まり作者: ヴィスワヴァ・シンボルスカ,沼野充義出版社/メーカー: 未知谷発売日: 1997/06メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 71回この商品を含むブログ (20件) を見る池澤夏樹の文章に誘われて、シンボルスカの詩集を買ってしまった.大切な1冊…

“ナチス•ドイツの焚書は、世界の注目を集めた。最も早く、最も痛烈な非難の声をあげたのはフランスであった” 『ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫) 』 角田房子 新潮社

ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)作者: 角田房子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1985/02メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る1982年刊の本である『本は、これから (岩波新書) 』(池澤夏樹編)に寄せた,最相葉月の文章で,ミチコ・タ…

“どんなことも、私たちが共に過ごした人生を、私たちが共になしとげたすべてを、私とエリ―から奪うことはできない。私たちは決して、別々になることはないんだ” 『フランクル『夜と霧』への旅』 河原理子 平凡社

フランクル『夜と霧』への旅作者: 河原理子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/11/24メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (8件) を見るフランクルの私生活は,その著作ほどには知られていない.家族などいろいろな人へのインタビューが本…

“この本は、書店にならべるために、つくられたものではない。  この本には、ひとりの人にむかって思いをよせるひとりの人の心がこもっている”  『私家版 アンデルセン・絵のない絵本』 絵と文字:佐々木マキ 原作: H.C.アンデルセン メディアリンクス・ジャパン

アンデルセン・絵のない絵本―私家版作者: 佐々木マキ,H.C.アンデルセン出版社/メーカー: メディアリンクス・ジャパン発売日: 2005/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見るちょっと変わった本である.アンデルセンの『絵のない絵本』に佐々木マキが絵…

“ずっと昔『旅芸人の記録』というギリシャの映画を観て以来「おじさん」の出てくる絵本を作れないものかと考えていた” 『佐々木マキ見本帖』 佐々木マキ 絵本館

佐々木マキ見本帖作者: 佐々木マキ出版社/メーカー: 絵本館発売日: 2013/01/25メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る佐々木マキの絵本が大好きである.特に「ムッシュムニエルごご紹介します」「いとしのロベルタ」.子供たちが…

“単純ではない平易な文章が望まれるとすれば、その平易は、自分に即して生まれた必然性のある平易に限り有効である” 『「やさしい古典案内」のこと』 耳目抄310 竹西寛子 ユリイカ 2013年6月

ユリイカ 2013年6月号 特集=山口昌男 道化・王権・敗者作者: 高山宏,中沢新一,上野千鶴子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2013/05/27メディア: ムックこの商品を含むブログ (9件) を見る「特集=山口昌男 道化・王権・敗者」ということで,久しぶりに手にとっ…

“柄谷の念頭にある「イソノミア」という概念は、それの歴史的起源をあえて古代ギリシアのイオニアに求めるようなことをせず、...ひとつの統整的理念として彫琢していったほうがよほど生産的ではないのだろうか” 『イオニア的』 ヘテロトピア通信39 上村忠男 みすず 2013年4月

みすず 2013年 04月号 [雑誌]出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/04/01メディア: 雑誌この商品を含むブログを見る柄谷行人氏の新著『哲学の起源』,広告や書評を見かけるようになった.(私は読んだことがないのだが)その著書がたいへんよく読まれて…

私の読書2012年のベスト10冊(その2)

みすず書房の雑誌「みすず」の読書アンケート特集にならって 2012年私にとっての10冊は以下です.順不同です.(1冊おまけ) もう6月になってしまいましたが. 『梅里雪山(メイリーシュエシャン)十七人の友を探して (ヤマケイ文庫)』 小林尚礼 山と渓谷…

私の読書2012年のベスト10冊(その1)

みすず書房の雑誌「みすず」の読書アンケート特集にならって 2012年私にとっての10冊は以下です.順不同です.(1冊おまけ) もう6月になってしまいましたが. 『梅里雪山(メイリーシュエシャン)十七人の友を探して (ヤマケイ文庫)』 小林尚礼 山と渓谷…

“憎しみにとらわれることも、ひとときの平穏に満たされることもできる人間性が1枚の写真に宿っています” 『World Press Photo 2013』 World Press Photo Foundation, Thames & Hudson

World Press Photo 13作者: World Press Photo Foundation出版社/メーカー: Thames & Hudson発売日: 2013/06/28メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る毎年必ずどこかで観に行く世界報道写真展(URL). ことしは東京都写真美術館にて.…

“利用者の人生を知ることで、介護する側が変わる。たとえ徘徊などの“問題行動”があっても、それまでの人生でどんな苦労をしてきた人なのかを知れば、上から見下す目線にはなりえない” 『介護の庭に眠っていた民俗学  現代の肖像:民俗研究者 六車由美』 横田増生

AERA (アエラ) 2013年 6/10号 [雑誌]出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2013/06/03メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る六車由美氏の『驚きの介護民俗学』は,この半年の間,様々な書評で取り上げられ,ずっと気になっていた書物である.こ…

“他人の非を咎めるとき、おのれの正しさを言い立てるときに、弁舌さわやかな人間を私は信じない” 『人の罪を咎めるときの解とは、控えめにためらいがちに語れ』  内田樹 AERA (アエラ) 2013年 6/10号 朝日新聞出版

AERA (アエラ) 2013年 6/10号 [雑誌]出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2013/06/03メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る内田樹によるAERA巻頭言 従軍慰安婦をめぐる政治家の発言を受けて 「あなたがたのうちで罪のない者が、最初に彼女を投…

“少年期からすでに退行的な気分に全身を蝕まれ、後ろだけを向いて生きてきた私は、種村さんの〈落魄〉を巡る考察に小躍りした。(そうだ、何もいらない。思い出だけが人生た)。落魄という最後の切り札を手に入れることで私は残りの人生を気楽に切り抜けらないものかと、小狡く考えたにちがいな” 『夢でまた逢えたら』 亀和田武 光文社

夢でまた逢えたら作者: 亀和田武出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/04/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見る帯から ゴシップの愉しみ、 そして 活字とテレビの黄金時代。 ビー卜たけし、佐野洋子、椎名誠、手塚治虫、ナ…

“人間はすべての過去を言葉の形で心の内に持ったまま今を生きる。記憶を保ってゆくのも想像力の働きではないか。過去の自分との会話ではないか” 『春を恨んだりはしない - 震災をめぐって考えたこと』 池澤夏樹 写真: 鷲尾和彦 中央公論新社

春を恨んだりはしない - 震災をめぐって考えたこと作者: 池澤夏樹,鷲尾和彦出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/09/08メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 27回この商品を含むブログ (32件) を見る3.11を経験して,池澤夏樹氏の思索 ポーランドの女…

“だが、それもまた、現実の死をあくまでもロマネスクに感じ取ろうとしたがる、若い世代特有の思い上がりに過ぎなかった” 『沈黙のひと』 小池真理子  文藝春秋

沈黙のひと作者: 小池真理子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る小池真理子の実父に関わるエピソードに材をとった小説.2013年吉川英治文学賞. パーキンソン病を患い,施設…

“土居の第一世代の弟子となった石川は、土居が亡くなる二〇〇九年まで四五年間、「土居ゼミ」に通い、最期まで師事した” 『永山則夫 封印された鑑定記録』 堀川惠子 岩波書店

永山則夫 封印された鑑定記録作者: 堀川惠子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/02/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る2013.12.30追記 12/30深夜,NHKEテレでETV特集,『「永山則夫 100時間の告白」〜封印された精神鑑定の真実〜…

“これは高野さんが続けてきたエキプ・ド・シネマへの信頼感がもたらした結果だったと思う” 『高野悦子さんを悼む  映画作家の心届けた人』 羽田澄子 朝日新聞 2013年2月19日

岩波ホール総支配人の高野悦子さんが亡くなった.氏の,『母 老いに負けなかった人生 (岩波現代文庫)』を読んだばかりだったと言うこともあるが,何より,岩波ホールの映画に精神形成の幾ばくかを負っていると自覚するものにとって,感慨深いものがある.『…

“人生の終わりに近づくと−いや、人生そのものでなく、その人生で何かを変える可能性がほぼなくなるころに近づくと−人にはしばし立ち尽くす時聞が与えられる。ほかに何か間違えたことはないか…。そう自らに問いかけるには十分な時間だ” 『終わりの感覚』 ジュリアン・バーンズ 新潮社

終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)作者: ジュリアンバーンズ,Julian Barnes,土屋政雄出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/12メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (30件) を見るThe Sense of an Ending作者: Julian …

“大正という時代は明治の生真面目さが熔解しはじめた時期である” 『伊藤野枝と代準介』 矢野寛治 弦書房

伊藤野枝と代準介作者: 矢野寛治出版社/メーカー: 弦書房発売日: 2012/10/19メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 3回この商品を含むブログを見る 時代の空気をつかむのは難しい.大正という激動の転換期.その時代をよむことができる.大杉栄ととも…

“ぼくは思いだす、ベンヤミンよりわずか若く、一九一九年に二0歳の無名の詩人だったベルトルト・ブレヒトが、ローザと革命の敗北とを悼む「くれないのローザのバラード」を書いた、といわれていることを。” 『 バイエルン革命と文学  (1981年)  (白水叢書〈52〉) 』 野村修 白水社

バイエルン革命と文学 (1981年) (白水叢書〈52〉)作者: 野村修出版社/メーカー: 白水社発売日: 1981/02メディア: ? クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る1981年1月刊.同年3月読了とある.恐らく大学生協で購入して読んだもの.山口昌男の著作で…

“ふたりに敬意を表すべきは、輝かしい業績ではなく、「自由」を得るために、長いあいだ地道に行われつづけた壮絶な「稽古」にある、と私は思うのである” 『「加藤周一」という生き方 (筑摩選書)』 鷲巣力 筑摩書房

「加藤周一」という生き方 (筑摩選書)作者: 鷲巣力出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/11メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る日本を代表する知識人であった,加藤周一.予備校時代,国語のたいへん出来る友人がいて,彼が…

“しかし,私にとっては,やはり何としても不思議である” 『魔方陣』 大森清美 冨山房

新編 魔方陣作者: 大森清美出版社/メーカー: 冨山房発売日: 1992/04メディア: 単行本この商品を含むブログを見る魔方陣作者: 大森清美出版社/メーカー: 冨山房発売日: 1973メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る手元にあるのは旧版第三刷1975年…

“沖縄の悲劇は、沖縄の人々がどんなに抗議しても、日米間の政治家には届かないのだ。『運命の人』を書いた私は無力感にうちひしがれている” 『「大地の子」と「運命の子」』 山崎豊子 文藝春秋 2013年 01月号

文藝春秋 2013年 01月号 [雑誌]出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/12/10メディア: 雑誌購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (7件) を見る文藝春秋創刊90周年記念にあたって,特別寄稿「文藝春秋と私」が掲載されているもののうちの一つ.他…

“私が介護の原則は「説得より納得」ということに気がつき、母の希望にそった、母中心の介護に変えたとたん、母はみるみる回復した。母の痴呆は介護に対する不満、私に対する最大の抗議だった” 『母 老いに負けなかった人生 (岩波現代文庫)』  高野悦子 岩波書店

母 老いに負けなかった人生 (岩波現代文庫)作者: 高野悦子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/01/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る岩波ホールの映画は学生の時にかなり見た.最初がエルマンノ・オルミの「木靴の樹」.田舎からでてき…

“いつも山峡の大きい自然を、自らは知らぬながら相手として孤独に稽古するのが、彼女の習わしであったゆえ、撥の強くなるは自然である。その孤独は哀愁を踏み破って、野性の意力を宿していた” 『雪国  (新潮文庫 (か-1-1)) 』 川端康成 新潮社

雪国 (新潮文庫 (か-1-1))作者: 川端康成出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/05メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 118回この商品を含むブログ (196件) を見る小説はあまり読まないのだが.しかし,この歳でよりによって『雪国』とは我ながら驚きである.…

“CIA長官でもあったブッシュ(父)大統領は「成功は人に告げられることなし」のモラルをもっていた人物である” 『 日本の「情報と外交」 (PHP新書)』 孫崎享 PHP研究所

日本の「情報と外交」 (PHP新書)作者: 孫崎享出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2012/12/16メディア: 新書購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る週刊誌で,本書の著者,孫崎亨氏のことを知る.TVなどでも盛んに発言するほか,ツイッタ…

“人が人を本当に好きになるということは、こんなにもその人生に深く根をおろすものなのか” 『中村勘三郎の「告白」 関容子 文藝春秋 2013年 02月号

文藝春秋 2013年 02月号 [雑誌]出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/01/10メディア: 雑誌 クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見る「太地喜和子との本物の恋」と副題のある,ノンフィクション作家関容子による文章. 師走に急逝した第十八代中村…

“戦争が煽り立てる「明快さ」が、ある種大きな解放感をもたらすものであること、どのような社会にも、戦争に加担することによって暖昧さや迷いを解消してしまえるという誘惑があること” 『娘の眼から―マーガレット・ミードとグレゴリー・ベイトソンの私的メモワール』 メアリー・キャサリンベイトソン, 佐藤良明, 保坂嘉恵美訳 国文社

娘の眼から―マーガレット・ミードとグレゴリー・ベイトソンの私的メモワール作者: メアリー・キャサリンベイトソン,Mary Catherine Bateson,佐藤良明,保坂嘉恵美出版社/メーカー: 国文社発売日: 1993/02メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ…