人生

“少年期からすでに退行的な気分に全身を蝕まれ、後ろだけを向いて生きてきた私は、種村さんの〈落魄〉を巡る考察に小躍りした。(そうだ、何もいらない。思い出だけが人生た)。落魄という最後の切り札を手に入れることで私は残りの人生を気楽に切り抜けらないものかと、小狡く考えたにちがいな” 『夢でまた逢えたら』 亀和田武 光文社

夢でまた逢えたら作者: 亀和田武出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/04/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見る帯から ゴシップの愉しみ、 そして 活字とテレビの黄金時代。 ビー卜たけし、佐野洋子、椎名誠、手塚治虫、ナ…

“だが、それもまた、現実の死をあくまでもロマネスクに感じ取ろうとしたがる、若い世代特有の思い上がりに過ぎなかった” 『沈黙のひと』 小池真理子  文藝春秋

沈黙のひと作者: 小池真理子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る小池真理子の実父に関わるエピソードに材をとった小説.2013年吉川英治文学賞. パーキンソン病を患い,施設…

“これは高野さんが続けてきたエキプ・ド・シネマへの信頼感がもたらした結果だったと思う” 『高野悦子さんを悼む  映画作家の心届けた人』 羽田澄子 朝日新聞 2013年2月19日

岩波ホール総支配人の高野悦子さんが亡くなった.氏の,『母 老いに負けなかった人生 (岩波現代文庫)』を読んだばかりだったと言うこともあるが,何より,岩波ホールの映画に精神形成の幾ばくかを負っていると自覚するものにとって,感慨深いものがある.『…

“人生の終わりに近づくと−いや、人生そのものでなく、その人生で何かを変える可能性がほぼなくなるころに近づくと−人にはしばし立ち尽くす時聞が与えられる。ほかに何か間違えたことはないか…。そう自らに問いかけるには十分な時間だ” 『終わりの感覚』 ジュリアン・バーンズ 新潮社

終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)作者: ジュリアンバーンズ,Julian Barnes,土屋政雄出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/12メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (30件) を見るThe Sense of an Ending作者: Julian …

“戦争が煽り立てる「明快さ」が、ある種大きな解放感をもたらすものであること、どのような社会にも、戦争に加担することによって暖昧さや迷いを解消してしまえるという誘惑があること” 『娘の眼から―マーガレット・ミードとグレゴリー・ベイトソンの私的メモワール』 メアリー・キャサリンベイトソン, 佐藤良明, 保坂嘉恵美訳 国文社

娘の眼から―マーガレット・ミードとグレゴリー・ベイトソンの私的メモワール作者: メアリー・キャサリンベイトソン,Mary Catherine Bateson,佐藤良明,保坂嘉恵美出版社/メーカー: 国文社発売日: 1993/02メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ…

“一見して不屈だと思われるこの人も、われわれと同じ不安にさいなまれることを知って、われわれの尊敬の念は薄れるどころか、いっそう強まった” 『 マイ・アメリカン・ジャーニー“コリン・パウエル自伝”―ワシントン時代編 (角川文庫)』 コリン・L.パウエル, ジョゼフ・E.パーシコ, , 鈴木主税訳 角川書店

マイ・アメリカン・ジャーニー“コリン・パウエル自伝”―ワシントン時代編 (角川文庫)作者: コリン・L.パウエル,ジョゼフ・E.パーシコ,Colin L. Powell,Joseph E. Persico,鈴木主税出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2001/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック:…

“本が出たあと、事件は起こる” 『あとがきのあとで』 最相葉月 図書 2012年 09月号  岩波書店

図書 2012年 09月号 [雑誌]出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/08/30メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る最相葉月は,こうした小文が実に上手い.もちろん立派な著作もたくさんだしている.こうしたちょっとした文章は,著作集でも出ない限…

“しかし私は、「愛というイデオロギー」に殉じようとした高度な緊張感と、そのためにもたらされたアトリエ内部の「冷ややかな暗さ」を、智恵子変調の原因に加えたい誘惑にかられる” 【高村光太郎 日本への愛憎に揺れた大きな足の男】『 「一九〇五年」の彼ら』 関川夏央

「一九〇五年」の彼ら―「現代」の発端を生きた十二人の文学者 (NHK出版新書 378)作者: 関川夏央出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2012/05/08メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る本書の第七章 高村光太郎 日本への愛憎に揺れた大…

“彼女は偉大な妻であり、偉大な母であった。しかし、文学上の仕事は、『みだれ髪』刊行からこの〇五年までの五年間がピークであった” 【与謝野晶子 意志的明治女学生の行動と文学】 『 「一九〇五年」の彼ら』 関川夏央 NHK出版

「一九〇五年」の彼ら―「現代」の発端を生きた十二人の文学者 (NHK出版新書 378)作者: 関川夏央出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2012/05/08メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る本書の第八章 『与謝野晶子 意志的明治女学生の行…

“私は官邸で会議を重ね、ついに「財政構造改革法」という法律を作りました。梶山・与謝野のコンピで成し遂げた仕事のなかで、これは傑作中の傑作です” 『全身がん政治家』 与謝野馨, 青木直美 文藝春秋

全身がん政治家作者: 与謝野馨,青木直美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/06メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (6件) を見る期待以上に読みごたえのある一書.4つの原発癌,2回の再発と闘いながら過ごしてきた人生を語る.衆議院…

“その感慨は、必ずしも共感だけではなく、違和感であっても、否定感であってもよい、とにかく、人々が、無関心な、英語で言えば〈indifferent〉な状態から一歩抜け出して、色々な体験と思いを交わし合える一つの材料でありさえすれば、それで十分、という思いもあります” 『私のお気に入り ─観る・聴く・探す』 村上陽一郎 集英社

私のお気に入り ─観る・聴く・探す作者: 村上陽一郎出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/02/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るストイックに一生を過ごしてきた人であっても,晩年になって,昔を振り返りつつ思い出を語りはじめる人は多…

“運命とは、人生の中での出会いのことである。出会った人との関係は一生続き、出会ったものごとの影響は、死ぬまで残る” 『運命を生きる――闘病が開けた人生の扉 (岩波ブックレット) 』 浅野史郎 岩波書店

運命を生きる――闘病が開けた人生の扉 (岩波ブックレット)作者: 浅野史郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/05/10メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る寡聞にして,宮城県知事を務めた浅野史郎氏がATL(成人T細胞白血病)…

“ひとりを楽しむ先には豊かな生活がある” 『行正り香のひとりごはん生活 1』 週刊朝日 2012年4月6日号

週刊朝日 2012年4月6日号 表紙大島優子 前後期確定版 東大京大 合格者数ランキング発売日: 2012メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る週刊朝日 2012年4月13日号 (表紙:渡辺麻友) 全国2151高校大学合格者数ランキング発売日: 2012メディア: ?こ…

“痛烈で、敵意に満ち、挑戦的なスタイルがもてはやされている今日、あるいは常識的なことをあざ笑い、ひたすら突飛さばかりを追い求める現代文化のなかで、ここブランソンのショージ・タブチは、きわめて基本的なことを発見し、そこから成功をおさめたのだ” DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語』 ボブグリーン, Bob Greene, 山本光伸訳 光文社 (その2)

DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語作者: ボブグリーン,Bob Greene,山本光伸出版社/メーカー: 光文社発売日: 2001/07メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見るボブグリーンの本書に関する引用,第二弾.実は,…

“第二次世界大戦世代の人聞は自分たちのことを自慢して歩かない” “第二次世界大戦の帰還兵は、スポーツの試合で起きていることと戦場での出来事を、決して混同 しない” 『DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語』 ボブグリーン, Bob Greene, 山本光伸訳 光文社 (その1)

DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語作者: ボブグリーン,Bob Greene,山本光伸出版社/メーカー: 光文社発売日: 2001/07メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見る ボブ・グリーンは稀代の名コラムニストである.近…

“『お母さん、ぼくには何の財産も残さなくていいよ。ぼくは何もいらない。その代わり、勉強の面倒だけは見てください』” 『あんぽん 孫正義伝』 佐野眞一 小学館

あんぽん 孫正義伝作者: 佐野眞一出版社/メーカー: 小学館発売日: 2012/01/10メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 205回この商品を含むブログ (63件) を見る存命中の人の評伝を書くことは難しい.褒めるにしろ,けなすにしろ,自身の見解を率直に表現するこ…

“なぜ“をどり”なのか、なぜ創作なのか、なぜそうあらねばならないのか、このような仕事(芸術)には常に自身の影のようにつきまとう問いである” 『怪男児 麿赤兒がゆく 憂き世 戯れて候ふ』 麿赤兒 朝日新聞出版

怪男児 麿赤兒がゆく 憂き世 戯れて候ふ作者: 麿赤兒出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2011/10/07メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログを見る麿赤兒(まろあかじ、1943年2月23日 - )は、奈良県桜井市生の俳優、舞踏家、演出家。 早稲…

“思っている限り、人は生き続ける。 忘れること、忘れられることを恐れながら、それでも生きていこう” 『コンニャク屋漂流記』 星野博美 文藝春秋

コンニャク屋漂流記作者: 星野博美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/07/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (15件) を見る 何となしに元気が出る本.無理してがんばろう,ということではなく,今でも愉快なことはたくさん…

“とるに足らぬ人生などというものは存在しない。ただ照明が当てられるかどうかが問題なのだ。あの日、照明器具は、一九四一年同様、不良品だった。” 『密告』 ピエールア・スリーヌ 白井成雄訳 作品社

密告作者: ピエールアスリーヌ,白井成雄出版社/メーカー: 作品社発売日: 2000/09メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見るこれは小説.そういう意味では,フィクションだが,自身の驚くべき体験を,そのままでは語れないが故に,小…

“世の中には、こういうこともあるのである” 『野口英世』 in 『明治の人物誌  (新潮文庫)』 星新一 新潮社

明治の人物誌 (新潮文庫)作者: 星新一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1998/04メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (20件) を見る明治の人物誌 (上) (大活字本シリーズ)作者: 星新一出版社/メーカー: 埼玉福祉会発売日: 2005/05メデ…

“ダイモーンに対して取りうる最上の態度とは、それを避けることではなく、その声を耳を澄ませて聴き、そのいわんとするところを理解することだ。悲劇とは、自分のダイモーンを自覚できなかった者たちの敗北の物語にすぎない” 『再会と別離』 四方田犬彦, 石井睦美 新潮社

再会と別離作者: 四方田犬彦,石井睦美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る50を越えた人間二人が,再会し,自身の別離と,そして再開を語る.齢50を越えた人だけが語ることので…

“これから社会に旅立つ、あるいは旅だったばかりの若者が、非常で残酷な日本社会を生き抜くための、「ゲリラ戦」のすすめである” 『僕は君たちに武器を配りたい』 瀧本哲史 講談社

僕は君たちに武器を配りたい作者: 瀧本哲史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/09/22メディア: 単行本購入: 17人 クリック: 841回この商品を含むブログ (107件) を見る【読んだきっかけ】 この手の本は、ふつうは読まない、読んでも本屋で流し読み。敢えて…

“本は「根っこ」(思想)と「翼」(想像力)を与えてくれる。この二つは、外に内に橋をかける時の大きな助けである” 『日本人の美風  (新潮新書 436) 』 出久根達郎 新潮社

日本人の美風 (新潮新書)作者: 出久根達郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る出久根達郎氏による最新刊.いいですねぇ.こういう本大好きです.引き出しにしまっておきたい挿…

“人生は哀しみとともに歩むものだが、決して悲嘆するようなことばかりではない” “ ただ私は一冊の、一行の言葉が、人間に何かを与え、時によっては、その人を救済することがあると信じている” 『なぎさホテル』 伊集院静 小学館

なぎさホテル作者: 伊集院静出版社/メーカー: 小学館発売日: 2011/07/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 8回この商品を含むブログ (11件) を見る伊集院静が,作家としての地位を確立する前の若い頃,7年間をすごしたという「なぎさホテル」,このホテ…

“こういう失敗を重ねつつもお酒がやめられないのは、やはり人との交流や会話が楽しいからでしょう” 『酔って記憶をなくします (新潮文庫)』  石原たきび編 新潮社

酔って記憶をなくします (新潮文庫)作者: 石原たきび出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/09/29メディア: 文庫 クリック: 32回この商品を含むブログ (23件) を見る酔って記憶をなくした人たちの体験集. アルコールに弱く,飲むと寝てしまう私には別世界の…

“僕はその日,学術的な講義をするふりをしながら,自分という人間を空き瓶に詰め込み,海辺に流れ着いたその瓶を子供たちが拾う日のことを考えていた.” 『最後の授業 ぼくの命があるうちに DVD付き版』 ランディパウシュ, ジェフリーザスロー, 矢羽野薫訳 武田ランダム

最後の授業 DVD付き版 ぼくの命があるうちに作者: ランディパウシュ,ジェフリーザスロー,矢羽野薫出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2008/06/19メディア: 単行本購入: 33人 クリック: 354回この商品を含むブログ (183件) を見る原書の装幀…

“幸せだった思い出を語るのが,いちばんうれしいことではないか” 『いまも、君を想う』  川本三郎 新潮社

いまも、君を想う作者: 川本三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/05メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 35回この商品を含むブログ (12件) を見る川本三郎氏の映画評は,新聞,雑誌,映画のパンフレットなどでよく目にしたものです.冷静な落ち着いた…

“彼ら自身は平凡な市井の人ではあるが,やっている仕事は非凡なのである” 『日本一の秘書―サービスの達人たち  (新潮新書 411) 』 野地秩嘉 新潮社

日本一の秘書―サービスの達人たち (新潮新書 411)作者: 野地秩嘉出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 37回この商品を含むブログ (6件) を見る野地秩嘉によるサービスの達人シリーズ第3弾である.取材対象は下記.達…

『サービスの天才たち』 野地秩嘉 (新潮新書)

サービスの天才たち (新潮新書)作者: 野地秩嘉出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/11メディア: 新書購入: 32人 クリック: 473回この商品を含むブログ (17件) を見る雑誌で書評を読んで関心を持ち,特にある一章だけは読んでみたいと思いました.たまたま夕…